学長メッセージ

近畿大学は「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神とし、「人に愛され、信頼され、尊敬される」人づくりを教育の目的として、1925年創立の大阪専門学校と、1943年創立の大阪理工科大学を母体として、1949年に設立されました。本学は創設者・世耕弘一の「学びたい者に学ばせたい」という信念をもとに、医学から芸術まで学ぶことのできる総合大学として発展し、2016年に国際学部、2022年に情報学部を開設するなど、社会の変化にも対応して参りました。本学の教育は、チャレンジ精神、創造性、社会性、生涯にわたる自律的学修心の育成を通じて「人格の陶冶」に努め、社会を支える高い志をもった人材を送り出すことを使命としています。それと同時に、「実学教育」をもとにした質の高い研究を実践して、その成果を社会に還元することを目指しています。

新型コロナウイルスの蔓延以降、大学教育は大きく変貌しました。対面での授業と並行し、オンライン授業やオンデマンド型の授業が、多くの大学で取り入れられています。本学では、2021年には東大阪キャンパス内に音響・動画処理の設備を揃えたスタジオ「KICS」を開設し、高品質のオンデマンド授業教材の制作を可能としました。今後、最新のICT技術をふんだんに取り入れ、これまでにない次世代の新たな学びの形を提供するために、革新的な教育にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

本学では実学教育における人材育成の1つとして、2025年までに100社の大学発ベンチャー企業を創出することを目指しています。その一環として、近畿大学発ベンチャー起業支援プログラム「KINCUBA」を始動させました。さらに、このプログラムを推進する拠点として、2022年10月に東大阪キャンパスに、インキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」を開設しました。本施設は、起業マインドを有する学生や教員が自由に交流・ディスカッションできる場であり、起業マインドの醸成から法人設立までのステージに応じた起業支援を行っています。また、2023年には、起業を目指す方、すでに起業している方を対象として、既存の学問領域を超えたアントレプレナー(起業家精神)教育を行う「実学社会起業イノベーション学位プログラム」を大学院に設置しました。

本学は、2025年に創立100周年を迎えますが、次の100年も私立大学として「建学の精神」と「教育の目的」に基づいた独自性の高い教育・研究活動を行って参ります。そのために、「常に革新的である」、「社会の役に立つ」、「期待され応援される」を行動指針とし、その先のあるべき姿として「学校法人近畿大学長期ビジョン2030時代の変化に対応し、選ばれる教育機関であり続ける」を掲げています。18歳人口の減少に伴い、大学をはじめとする教育機関を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、本学が常に未来を志向し、社会に必要とされる総合大学であり続けるため、教職員一同、一丸となって邁進する所存です。

学長

松村 到
ITARU MATSUMURA
近畿大学学長