2010(平成22)年度 海外留学帰国報告書

慶煕大学(韓国) 文芸学部 文学科 帰国報告書

1.留学中の活動詳細について

授業内容

韓国は3月から新学期が始まります。前期は3月~6月中旬まで、後期は9月~12月下旬までです。私は、前期を国際教育院(語学堂)で勉強し、後期は学部の授業を受けました。まずは、前期の授業について詳しく書いていこうと思います。
前期は、国際教育院で語学のみを勉強しました。まず、クラス分けのためのテスト(筆記試験・面接)を受けました。その結果が後日掲示板に張り出され、自分のクラスが決定し、私は中級クラスに入りました。クラスに日本人は私一人で、他の学生は、中国・ロシア・カザフスタン・スリランカの人たちでした。私とロシア・カザフスタンの学生は交換留学生でしたが、中国・スリランカの人たちは、正規に入学した人たちでした。授業は13時~17時の4時間で、1コマ50分でした。2人の先生が2時間ずつ教えてくれ、最初の2時間は会話や聞き取りをメインに勉強し、後半2時間は文章の読解や作文をメインに勉強しました。また、教科書の内容だけでなく、映画を見て感想を発表したり、グループに分かれて課題を調べ、パワーポイントを作って発表したり、いろんな方法で授業は進められました。
テストは択一式で、韓国語能力試験とほぼ同じです。毎日の授業を聞いていれば解ける問題なので、語学堂のテストは心配する必要はないと思います。
後期は、韓国語学科と演劇学科の授業を受けました。韓国語学科では、外国人の学生が授業を受けるためには、レベルテストというものがあり、必ずそのテストを受けなくてはなりませんでした。テスト内容は韓国語能力試験の中級レベルの問題で、テスト結果は1段階から4段階に分けられていました。1段階は内国人用の授業のみ、2段階は内国人用の授業と外国人専用専攻授業。3段階からは外国人専用専攻授業と語学授業、4段階は語学授業のみになっていました。テストの結果、私は1段階の内国人専用の授業を受けられることになり、韓国語の教育法や発音、対照言語学などの授業を受けることにしました。 韓国語学科・演劇学科の授業は当たり前ですが、すべて韓国語で行われます。語学堂のように先生がゆっくり説明してくれるわけではなく、先生の話すスピードについていくのがやっとで、最初の方は授業の内容を把握しきるのはすごく大変でした。しかし、徐々に慣れてくると余裕を持って授業を受けられるようになり、精神的にも楽に授業を聞けるようになりました。
学部のテストは基本的に記述形式の問題が多いです。語学堂とは異なり、自分の考えを書かなければならないので、少し難しく感じると思います。私もなかなか上手く自分の考えを書けず、前期のテストではほとんど書けませんでした。しかし、後期は自分の考えを難しく考えすぎないようにしました。そうすると、自分の知っている文法と単語だけでも十分に書けるようになります。焦らずに問題を解けばいいと思います。

生活面

まず、韓国についた日から授業が始まるまでのことを紹介します。この間で一番大切な事は、何といっても外国人登録証を作りに行くことです。その際パスポートを預けるので、銀行口座や携帯電話の契約に少し時間がかかってしまうかもしれませんが、なるべく早く作りに行く方がいいと思います。私の場合は作るのに3週間ほどかかってしまい、パスポートがない間少し不便でした。全ての手続きはトウミが手伝ってくれると思うので、分からない事は自分からトウミに頼んでみてください。
次は、日々の生活について書こうと思います。前期は週5日、お昼13時~17時が授業でした。午前中は自分の時間にあて、授業後は友達との時間にあてていました。最初の頃は、やはりクラスの子とも上手く意思疎通が出来ずにいました。お互い母国語が違い、韓国語も満足のいくものとは言えないレベルだったので、なかなか言いたいことが言えない日々が少し続きました。しかし、そんな日もあっという間に終わり、自分たちの言いたいことをいかに相手に分かりやすく伝えられるかということを考えるようになってからは、それほど苦労することもなく毎日楽しく過ごせるようになりました。私の場合、17時に授業が終わってから、クラスの友達とそのまま夕食を食べに行くようになってから、どんどん仲良くなることができ、友達とはほとんど毎日一緒に過ごすようになりました。
後期はいたって普通の学生生活でした。しかし、日本の大学の講義と異なるのは、韓国の大学の講義はほとんどが学生の発表で成り立っているということです。日本のように先生が教壇に立って説明をするというより、毎回、学生がパワーポイントなどでまとめたものを発表し、先生がそこに少し加わるという形が多かったです。
次に、国際キャンパスについて紹介します。国際キャンパスの寮には、1階にフードコート・銀行・コンビニ・コーヒーショップ・美容室・歯医者・薬局、生活用品をすべて買える場所があり、とても充実していました。大袈裟かもしれませんが、大学から出なくても生活が出来るぐらい、何でもそろっています。また、大学内は敷地がとても広いので、芸術学部や図書館、郵便局などに行く際はバスを利用します。歩いて行くこともできますが、小さな山を一つ越える感じだと思ってください。

経費など

国際キャンパスは寮費を1年分一括で支払います。寮費は総額で325万ウォンぐらい、日本円で約25~26万円ぐらいでした。寮費には食券も付いており、学期ごとに90食分ありました。寮には食堂とフードコートがあり、大体2500ウォン~4000ウォンぐらいで食べられます。
携帯代も3~4万ウォンぐらいで、出かける際に必要な交通費も日本に比べてかなり安いです。T-moneyというカードがあれば、国際キャンパスがある龍仁市からソウルまで1700ウォンで行けます。

2.留学の成果について

留学当初、韓国語学科の授業を受けるためレベルテストを受けました。その時は3段階という結果でしたが、後期のレベルテストでは1段階をとることが出来ました。これは、語学堂で勉強出来たおかげで、この成績が取れたのだと思います。
また、韓国語の力はかなり伸びたと思います。まだまだ分からない単語や文法などはたくさんありますが、自分の言いたいことや相手の言いたいことを理解することが出来るようになりました。それだけでなく、教科書を読むスピードも速くなり、言いたいことを日本語で考えるのではなく、韓国語で考えられるようになりました。
語学堂ではいろんな国に友達を作ることができました。学部の授業だけだと出会えなかった友達がたくさんでき、いろんな考え方に触れることができました。そのおかげで、自分の考え方や価値観も少しずつ広がったと思います。

3.反省点

語学堂では様々な国から来ている学生がいるため、それぞれの国の文化をよく聞かれました。しかし、知らないことが多く、少し困ることがありました。語学堂で勉強されるのであれば、少しでも日本の文化や歴史などの知識があるといいのではないかと思います。私が一番困ったのは、「日本の建国神話」です。教科書に韓国の神話の題材が載っており、日本の神話を聞かれた時は全く答えられませんでした。
また、図書館まで距離が遠いため、ほとんど利用出来なかったという点です。後期になってからは行く回数が増えましたが、それまでは全く利用していませんでした。いろんな本がたくさん置いてあるので、もっと利用すればよかったな、と思います。
語学堂で仲良くなった友達と一緒に居る時間が多かったため、あまり韓国人の友達を作ることが出来ませんでした。やはり、韓国人の友達を多く作る方が語学力を高めるには一番良い方法だと思うので、もっといろんな場所に行き、韓国人の友達を増やす努力をすればよかったな、と思います。

4.海外留学を目指している学生へのアドバイスについて

語学だけでなく、海外に出れば自分の国のことをよく聞かれます。日本の文化について、少しでも知識があると、友達同士の会話も盛り上がったり、いろいろ日本のことを紹介出来たりします。みんな好奇心があるので、難しい質問などもされたりしますが、考えすぎず、自分の分かる範囲で答えればいいと思います。
あとは、いろんなものを吸収しようと思う気持ちが大事だと思います。語学だけでなく、韓国の文化や習慣も同時に学ぶことを意識することで、いろんなことを発見することが出来ると思います。また、様々な国から学生が学びに来ているので、いろんな国の人と仲良くすることも大事だと思います。