2011(平成23)年度 海外留学帰国報告書

ノッティンガム大学(イギリス) 経営学部 会計学科 帰国報告書

1.留学中の活動詳細について

私の留学生活は最初から最後まで周りからの支えで成り立っていました。留学を通して学んだことの一つは、自分がいかに周りにサポートされているかということです。家族はもちろんのこと、本当に多くの方の支えを得て、感謝の気持ちを書き挙げて行くとそれだけでこの帰国報告書も終わってしまうほど、感謝、感謝の留学生活でした。イギリスに到着後、イギリスに在住しているアメリカ人の友人がヒースロー空港まで迎えにきてくれました。その後ノッティンガムに移動し私が住むことになっていた寮で働いているスタッフの方の家に二週間ホームすることになっていました。そのため、ホストファミリーの方がノッティンガムの駅で待っていてくれました。まず携帯電話や衣服、生活していくために必要最低限の物を購入するところから始まりましたが、それも全てホストファミリーの方に助けて頂きました。
到着後、一週間程した後、英語コース(CELE)の説明や、授業への導入が始まりました。ノッティンガム大学のCELEのプログラムの概要としては最初の10週間はAE1(アカデミックイングリッシュ1)と呼ばれる学部での授業に対応出来るように英語力を向上することを目的としたクラスから始まります。それを終えた後、AE2(アカデミックイングリッシュ2)ではより実践的な、エッセイの書き方や、実際に学部で授業を持っている教授に来て頂き、授業を受けリスニングやノートの取り方を勉強するというものです。設定された点数を取得することが出来れば無事に学部に上がれるというシステムです。
クラスメイトは中国人とアラビア人で七・八割を占めていました。授業自体は特別に難しいということはありませんでしたが、日本ではネイティブではない英語の発音を聞く機会というのはあまりなかったので、最初の一週間はクラスメイトのそれぞれのアクセントに慣れるまで聞きとれないこともありました。特に難しかったのはAE2では私以外のクラスメイトは全てアラビア語圏と中国人の生徒であったことです。基本的には英語で会話をすることを前提としているのですが、休み時間はもちろん、授業中のディスカッションですらそれぞれの母国語で会話をする生徒は多くいました。ただそこで受け身になってしまっても始まらないので、とりあえず相手がどの言語を話していようが、こちらから英語で話に割って入っていけば誰か一人は通訳をしてくれる人が居ることが多いです。他にはパーソナルチューターに相談するなど、自分から積極的に行動していると英語以外は使わないという生徒が自然と周りに集まってきました。
多くの人が同じ人種、もしくは同じ言語を話す民族で集まっていることが多いというが現実でしたが、その会話の中に一人で加わってみると本当に違った文化観、価値観、宗教観というものを身を持って感じることが出来ました。東アジアの国々とでは日本と特に大きな違いはありませんが、中東系出身の友人と出かけたり、会話をしたりすることは日々新たな違いを見つけることができ非常に楽しかったです。バス停でイラク(クルドスタン)出身の友人と宗教について話を始めるうちに二時間近く話し込んでしまうということもありました。宗教というのは非常に繊細な話題だと思いますので初対面で話すには良い話題ではないかもしれませんが、距離が縮まった後に自分が疑問に思ったことを素直にそのまま質問すると快く説明してくれる友人がほとんどでした。私の周りには異なる宗教を信仰している友人が多く居ましたので、ノッティンガムの生活を通して語学や学問知識だけではなく異なる文化観・宗教観を友人から教えられ、考えることが出来たのは日本ではなかなか出来ない経験だったと考えています。例えば、クリスマスにはキリスト教徒であるイギリス人のホストファミリーと教会に行き、時にはイスラム教徒である友人にお祈りをする部屋に連れて行ってもらいました。当然のことですが、同じ国出身でも、同じ宗教を信仰していても人それぞれに考え方は違いますし、対応の仕方も違います。宗教への勧誘や、異なる宗教を批判するということが一切なかったというわけではありません。
CELEを無事にパスすると、いよいよ学部の授業が始まりますが、ここでノッティンガム大学のテキトーさに苦労することになりました。書き挙げると切りがないので簡単に要約しますと、ビジネススクール、インターナショナルオフィス、学生課、セキュリーティーオフィスが一切連携しておらず、たらい回しにされることが何度もありました。学部の授業自体は教授の話すスピードはCELEと比べると早かったですが、私は海外ドラマを見るのが日課になっていたため理解することに問題はなかったです。むしろ、学生が発言をすることが日本の大学と比べ多くあるのですがボソボソと小さな声で発言をする学生がおり、それを聞き取るのは非常に難しかったです。
授業外での予習・復習に関してですが、CELEと比較にならないほどタフになります。授業ごとにリーディングリストと呼ばれる予習として読んでおくことが前提とされる本のリストが配布されますが、一科目の一つの授業につき予習として最低50~100ページは読むことになります。もちろん科目によってはそれ以上ということもありました。私はマーケティングを中心に勉強していたので、ケーススタディーなどの実際の事例もネット上、もしくはジャーナルから見つける必要もあり、リーディング、リーディングの日々でした。ノッティンガムのビジネススクール、特にマーケティングはイギリス国内だけではなく世界的に優秀とされているらしく「ビジネススクールの学生は大変だね。」と言われることも何度かありました。
学部の開始する9月に、ソサイアティーと呼ばれる日本のサークルのようなもののメンバー募集が始まります。私は2年生向けの授業などを履修していたこともあり、オープンマインドな学生は少なく、既にグループで固まってしまっている生徒がほとんどで学部にあまり友人が出来ませんでした。ですので、ソサイアティーやCELEで知り合った友人と過ごすことが非常に多くありました。自主的に活動すれば、ソサイアティーは様々な学生に出会う非常に良い機会になると思います。トラベルソサイアティーや、スカイダイビングソサイアティーなどはリーズナブルな値段で提供してくれますし、空手、ボクシング、サッカー、ユニセフ、マッサージ、日本ソサイアティーなどなど幅広い種類があります。
費用に関してですが、食事を提供してくれるケータリングと呼ばれる大学の寮に住む場合はかなり費用がかさみます。セルフケーリングと呼ばれる食事のついてない寮も安いですが、ホームシェアをするとそれよりも安く抑えることが可能です。四人で共有し、一人につき一週間、60ポンドで暮らしている友人もいました。
他にも使用するラインによってはEasy Riderというノッティンガム市が運営しているバスに乗るための回数券のようなカードで安く抑えることも出来ます。電車に関しては16-25 Rail Cardはカード購入のために最初に少し費用がかかりますが、電車のチケットが最大30パーセントオフになり結果的にはかなり節約出来るので個人的にはオススメです。

2.留学の成果

語学に関しては正直なところ最初の5~6カ月間は特に大きな向上を感じることはありませんでした。相手の言うことの理解や、コミュニケーションに関して特に問題があったというわけではありませんが、イギリスに行けば自然と第二言語として英語が話せるようになるという風に、たとえ少しでも考えていたことは大きな勘違いでした。CELEで多くのエッセイを書くことを通しライティング力を、日常生活でスピーキング力やリスニング力を少しずつ上達しました。毎日の生活の中で日本語を話さないことよりも、英語をより多くの機会で話すことを心がけていたこともあり、最終的には外国語というよりも第二言語として英語を話すことが出来るようになりました。
ノッティンガム大学では専門科目の履修に制限があり、私の日本での専攻である会計の授業は一科目しか履修できませんでした。しかし、その代わりに勉強したマーケティングは非常に興味深く、学ぶことは基本的に全て知らないことばかりでしたが多くの新しいことを習得することが出来ました。
語学・勉学はもちろん大切なことですが、長期滞在であったため文化・宗教の深い部分を垣間見ることが出来たことは非常に貴重な体験でした。ノッティンガム大学は中国とマレーシアにもキャンパスを持ち、アメリカ、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、アフリカと世界中から学生が来ており文字通りインターナショナルな大学です。その中で自主的に、積極的に活動し、それぞれ違った人種やバックグラウンドの友人が出来、そのような友人たちと同じ場所で過ごすことは私にとって当たり前の毎日でしたが、その違いから学ぶことは多くありました。学ぶだけではなく心から楽しいと言える毎日で、本当に距離の近い友人を一年弱で築くことが出来たことは留学生活を通しての大きな成果です。

3.反省点

学部での授業はリーディングが非常に多く、ケーススタディーなども含め全て読もうと思うと切りがないので、自分の中で最低限のラインを決めて予習・復習を行いました。ただ、読むことに関しては日本語に比べ時間が掛ってしまい、途中で投げ出してしまうこともありました。最初に決めた最低ラインに添ってリーディングをすることが出来れば、授業の理解度や課題も更に深いものに出来たのではないかと思います。
学部外に非常に居心地が良いインターナショナルな友人たちが居たため、学部内に友人を作るという動きを意識的にはしませんでした。最終的に学部内にもある程度友人は出来ましたが、もう少し早く知り合っておけば授業の内容に関してもディスカッションや、課題の推敲など生徒間で授業の内容を膨らませることも出来たのではないかとも今は思います。

4.海外留学を目指している学生へのアドバイス

TOEFLの点数、学部の単位は留学をするうえでは最低限必要になってくると思います。もし今後留学をするかどうか悩んでいる方が居ましたら、とりあえずTOEFLのスコアを先に取得することを強くお勧めします。ただ悩むだけではなにも変わりませんが、点数により選択肢は広くも、狭くもなり、自然と結論も出やすくなるかと思います。近畿大学では英語村、語学センターの無料講座、キャリアセンターのTOEFL対策の課外講座など英語を勉強するために不自由のない環境が揃っていると思います。ちなみに、私は全て利用しましたが、どれも本当にためになったと留学後も思います。語学センターの無料講座に関しては一年の前期から学部の授業と並行し、取れるだけ履修していました。
私は大学近くに一人暮らしをしていたためイギリスに行くためには非常に面倒なことも多く、たくさんの方に迷惑を掛け、当然のことながら周りの皆さんのサポートなくしては実現することはない留学生活でした。どれだけの労力を注いでも、なんとか実現させたいと思っていた留学は本当にその価値のあるものだと帰国後改めて実感しています。勉学の面だけではなく、様々な面で簡単なことばかりではないと思いますが、行動次第で本当に特別な留学生活を作ることが出来ると思います。