教育プログラム

概要

1.化学生命工学科の教育プログラム

化学、生命、食品および環境分野の学習を通じ、
多彩な視点で健康や環境問題の解決に繋がるものづくりに貢献できる技術者をめざす。

化学生命工学科では,多彩な才能と個性を最大限に伸ばしながら社会の要求に応えられる人材教育体制として,化学部門,資源工学部門,環境部門,生物工学部門等の技術士を目指せるJABEE認定(工学(融合複合・新領域)関連分野)の教育プログラム(生物化学コース)と,化学と生命科学の知識を基礎として,環境を中心に分析技術の修得を行い,プロセス計測,環境分析の工業的応用,また環境保全などの専門分野で活躍可能な人材教育を目指した教育プログラム(環境化学コース)と安全かつ安心な食品の製造・開発,健康増進に役立つ機能性食品の開発,豊かな生活を送るためのおいしさの追求について体系的に学び,食品産業分野で活躍可能な人材の育成を目指した教育プログラム(食品科学コース)があります。また,所定の単位を取得すると卒業時に食品衛生管理者・食品衛生監視員の資格が得られます。以下に学科全体の教育プログラムの概念図と特徴,学習・教育目標に続き,3つのコースを具体的に説明します。

学科の教育プログラムの概念

化学生命工学科の教育プログラムを概念図によって明確にし,中心となる分野が生命,化学,食品と環境であることを示しました。六角形はベンゼンをイメージし,化学を基礎にした教育プログラムを表しています。それぞれの分野は連携してニューマテリアル,グリーンケミストリー,IT,医薬品の各分野に結合しています。このような分野で活躍できる技術者の育成を目指すのが,本学科の教育プログラムの特徴であり,教育理念です。

学習・教育目標

化学生命工学科では,上記した教育理念を以下の4つの学習・教育目標として具体化しました。本学科の教育プログラムは,全てこれらの学習・教育目標にしたがってカリキュラムを配置しています。
A.地球と人を思いやる豊かな感性と高い倫理観の養成 B.国際的に通じる,筋道をたてて表現できる能力の養成 C.問題を提起しそれを解決するために行動できる能力の養成 D.生命科学や化学の基礎知識を持ち,専門知識を活用できる能力の養成

教育方法

学生がプログラムの学習・教育目標を認識した上で達成できるように,各科目とプログラムの学習・教育目標との対応を明確に示しました。シラバス(授業計画)では,到達目標を記載し成績の評価方法や評価基準を明確にしています。各授業では,授業の各段階で学生の理解度と達成度を確認するために小テストやレポート等が実施されています。その後の授業に生かし学生の勉学意欲を増進する仕組みも設けられています。

教育点検システム

教育プログラムには社会の要求や学生の要望に照らして点検できるシステムが必要です。化学生命工学科の教育プログラムは学生による授業評価等に加えて,外部評価委員によって評価される仕組みが取り入れられています。評価委員の構成は,企業サイドから専門的知見から適切に判断・指導できる人物としました。さらに,学生による授業評価アンケート,教員間によるピアレビューなどの実施など,様々な授業評価システム等を加えながら,プログラムを定期的に点検して,継続的に教育を改善しています。

2.化学生命工学科のコース制

化学生命工学科のコース編成のスキームを下図に示します。本コース編成ではJABEE認定された生物化学コースおよびJABEE非対応の環境化学コースと食品科学コースの3コースとなります。いずれのコースも生命科学と化学の専門知識が得られるカリキュラム構成になっています。なお,コース分けは3年次開始時に行います。

【生物化学コース】 生物化学プログラム(JABEE対応教育プログラム)

化学,生物工学,技術者倫理,工学の基礎となる数学,物理学,語学等の幅の広い知識と問題解決能力を持ち,化学と生物工学との融合する分野で活躍する技術者,研究者を育成することを目標とするコースです。技術士資格取得を目指した学習・教育目標が達成できるように,JABEEが要求する基準を満たしたカリキュラム編成となっています。このプログラムを修了した学生には,卒業時に近畿大学・工学部化学生命工学科生物化学コース(技術者教育認定プログラム)の修了証明書が発行されます。

【環境化学コース】 環境化学プログラム(JABEE非対応)

必修科目を最小限にとどめ,学科理念の中で最大限の自由度を与えることで,興味をもてる得意分野を発見し,個性豊かなOnly One! を目指す技術者,研究者を育成することを目標とするコースです。また,生物系および環境系の公的あるいは民間資格取得を目的とした学習も可能です。

【食品科学コース】 食品科学プログラム(JABEE非対応)

卒業時に食品衛生管理者・食品衛生監視員の任用国家資格の取得を目指すため、多めの必修科目を設定しています。食品の衛生・安全性に関する知識と応用力を身につけ、安全で機能性の高い食品の開発を目指す技術者,研究者を育成することを目標とするコースです。

コース決定の手順

履修するコースは,原則として学生の意思を最大限に尊重し,以下の手順に沿って決定されます。 ・2年次後期にコースについての説明会 ・2年次後期試験終了後に,各学生が3年次以降に希望するコースを申請 ・教員により,申請されたコースに基づき2年次までの履修状況を調査 ・3年次開始時に,教員との面談を経て,履修するコースを決定 なお,3年次開始時にコースを選択した以降は,原則的にコース変更ができないので注意して下さい。

3.生物化学コース,環境化学コースおよび食品科学コースの対比

生物化学コース,環境化学コース,食品科学コースを対比して,例として生物化学コースを修了し卒業するA君,環境化学コースを修了し卒業するB君と食品科学コースを修了し卒業するCさんをイメージすると,下図のように示すことができます。

左図のA君は生物化学コース(JABEE対応コース)を卒業し,工学士の卒業証書と生物化学プログラム(技術者教育認定プログラム)の修了証明書を獲得できました。この修了証明書によってA君はJABEEが要求している能力について60%以上の達成度を持っていることが保証され,技術士資格の第一次試験が免除されます。卒業後は,就業先や大学院等で技術士二次試験のための学習が続けられます。将来は各種部門の技術士を就業先等での専門性を考えながら目指します。

一方,右図のB君は環境化学コース(JABEE非対応コース)を卒業し,工学士の卒業証書を得ました。
環境化学コースでは,分野や科目について学生が選択できる幅を拡げています。B君は特に化学の学習能力が高く,在学中に環境計量士の資格試験に合格しました。環境化学コースのカリキュラムでは,他学科履修,特修プログラム等の近畿大学工学部独自の幅広い教育カリキュラムを自主的に選択し,自ら考えた技術者像を実現していくことに特徴があります。また右図のCさんは食品科学コース(JABEE非対応コース)を卒業し,工学士の卒業証書と食品衛生管理者・食品衛生監視員の修了書を得ました。食品科学コースでは,環境化学コースと同様に生物化学コースと比べて分野や科目について学生が選択できる幅を拡げています。
Cさんは卒業後,食品産業分野に就職が決まっていて,この任用資格が内定の役に立ちました。このように,化学生命工学科では個人の能力を活かし,将来の目標に合わせたコース選択ができます。

教職課程の選択や大学院進学はコース制とは関係しておりません。例えば,Dさんは中学校理科の教員免許を取得することができました。
彼女は教員採用試験に合格し,理科の先生として教壇に立つことになっています。さらに別のE君は生物工学に大きな興味を持ち,大学院へ進学し研究者としての道を選択しました。この様に本学科で学修することで多様な将来設計を考えることが可能です。

当学科カリキュラムに関連して受験可能な各種資格は、授業計画の参考資料2(表6-2-1~6-2-2)に示されています。

生物化学コース,環境化学コースおよび食品科学コースの単位認定方法,必修科目数,選択科目数,学習保証時間,卒業要件などをまとめて対比すると以下の表のようになります。

生物化学コース,環境化学コース,食品科学コースの履修内容の対比(1)

履修コース 単位認定 専門必修科目 実験科目
生物化学コース
(JABEE 対応コース)
単位の認定基準,認定方法にコースによる違いはありません。 33科目68単位 6科目
環境化学コース 15科目30単位 6科目
食品科学コース 26科目52単位 6科目

生物化学コース,環境化学コース,食品科学コースの履修内容の対比(2)