近畿大学大学院 自己点検・評価(平成24年度実施)

近畿大学大学院
薬学研究科薬学専攻
入学定員       3 名

理念とミッション

近畿大学大学院薬学専攻は、主に薬学部の6年制学科を卒業し薬剤師免許を取得した(あるいは見込みの)学生のうち、生命の尊厳性を理解した上で研究に強い興味をもち、科学を通してヒトの健康の増進に貢献したい人を対象に設置したものである。本専攻では、いわゆるファーマシスト・サイエンティストを養成することを主な目的としている。すなわち、研究者の観点から薬物療法における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる薬剤師を養成する。また逆に、臨床を知る薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する人を輩出していくことも念頭に置いている。このため高度な倫理観と豊かな人間性を備えた社会に信頼される人を輩出することにも大きな力を注ぐ。本専攻では、薬剤師が臨床において遭遇する薬物治療上の諸問題の解析やそれに関連する新たな取組みに関する実験研究、医薬品の臨床応用や適正使用に役立つ幅広い分野の研究を行う。併設する薬科学専攻博士後期課程との最も大きな相違は、薬学専攻では常に臨床を意識して臨床に関連する教育研究を行うことである。

自己点検・評価

このような理念とミッションは、薬学系人材養成の在り方に関する検討会から提言されている4年制博士課程の主たる目的に照らし合わせて相応しいものと考える。

アドミッションポリシー

臨床医療に関連する薬学研究を通じ、卓越した洞察力と問題解決能力を駆使し、研究者の観点をもって多様な薬学領域で活躍できる人材を育成しますので、次のような人の入学を期待します。
1. 薬学および臨床医療に関する幅広い知識と専門領域における探究心を有し、研究を通して薬物療法の進歩に貢献したい人。
2.高い倫理観を持つ薬学研究者の観点から臨床医療・薬物療法における諸問題を直接解決し、人類の健康と福祉に貢献しようとする人。
3. 大学院在学中はもちろん、生涯に亘って研究意欲と向上心を持ち続け、研鑽を積むことができる人。

ホームページへのリンク

自己点検・評価

主に6年制学科で医療に関する専門知識を身につけた後、さらに薬学および臨床医療の現場における臨床に関する幅広い知識と、臨床に関連した研究を通して医療の進歩に貢献したい人材を受け入れている。よって、4年制博士課程の趣旨に合致していることは評価できる。

受験資格

一般的な受験資格である6年制薬学部を卒業した者(卒業見込みを含む)及び旧薬学教育課程の修士課程を修了した者で薬剤師免許を有している者を除き、本学の受験資格について該当するものに○を付す

1.
6年制課程(医学部、歯学部、獣医学の学部)を卒業した者
2.
外国において学校教育における18年の課程(最終の課程は、医学、歯学、薬学または獣医学)を修了した者
3.
修士課程を修了した者(薬科学)
4.
薬学以外の修士課程を修了した者
5.
旧薬学教育課程の学部を卒業した者(学力認定※)
6.
その他(学力認定)
  • 大学院において、個別の入学資格審査により、6年制の大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、24歳に達したもの
  • 4.の場合は、どのような人材を養成するのかについて
  • 薬剤師免許を有していない者について、どのような人材を養成するかについて
  • 5.6.について、学力認定を行う場合、その審査基準(具体的に求める研究歴や職務経験年数等について)について

上記の事柄について下記に記載する。

 薬学以外の修士課程を修了した者や薬剤師免許を有していない者は、医療生命薬学コースへの入学を想定しており、英語コミュニケーション先進演習、医療生命薬学先進演習1~3を必須化し、英語によるプレゼンテーション能力、総説講演、学会への参加と発表、企業や学外研究機関等における20日以上のインターンシップ、共同研究等を課している。医薬品による薬物治療や体内動態、医薬品の創製や開発、天然物由来動植物からの生理活性物質の探索や合成、遺伝子治療、医薬品の適正使用、疾病予防など幅広い医療生物薬学や医療科学に関連した教育研究が実施される。したがって、将来、健康食品や化粧品の研究開発および行政への申請に携わる人材、企業において医薬品の研究開発や治験に携わる人材、大学における基礎分野の研究者、国公立・財団法人・社団法人の各種研究機関における研究者などの輩出を想定している。
 本課程への入学は、旧薬学教育課程の学部卒業後、大学、研究所等において、2年以上研究に従事した者で、本大学院において、当該研究の成果等により、修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者が入学者の対象となる。但し、臨床薬学コース及びがん専門薬剤師養成コースについては、原則として日本国の薬剤師免許を有すること、または本課程入学年の4月までに薬剤師国家試験に合格見込みであることが必須条件である。入学希望者の選抜は、学力試験及び面接試験の結果を総合的に判断して行う。

修士の学位を有する者。
専門職学位を有する者。
薬学専攻博士課程は、6年制大学を卒業した者。
外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修し、修士の学位または専門職学位に相当する学位を授与された者。
我が国において、外国の大学院の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設であって、文部科学大臣が別に指定するものの当該課程を修了し、修士の学位または専門職学位に相当する学位を授与された者。
文部科学大臣の指定した者(平成元年9月1日文部省告示第118号)。
本大学院において個別の入学資格審査により、修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者で24歳に達した者、及び平成24年3月31日までに達する者。
4年制大学を卒業後、大学、研究所等おいて2年以上研究に従事した者で、本大学院において、当該研究の成果等により、修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者。
入学時において、上記1~6に該当する場合は大学院修了後2年以上の在職経験が、上記7~9に該当する場合は、4年以上の在職経験があり、且つ在職のまま入学を希望し、在職している職場の長の「推薦」があること。
薬学専攻博士課程の臨床薬学コース及びがん専門薬剤師養成コースは、原則として日本国の薬剤師免許を有する者。

自己点検・評価

主に6年制学部を卒業した学生が入学することを想定しているが、旧4年制薬学部や他学部を卒業した学生が入学することを想定し、博士課程に相応しい人材を受け入れできる様に細かな受験資格を設定していることは評価できる。

入学者選抜の方法

9月中旬(9月実施)に学内入学選考、一般入学選考、社会人入学選考を、2月後期(2月実施)に一般入学選考、社会人入学選考を実施している。特に、6年制学科(本学では医療薬学科)卒業見込みの学生に、早期に進路を決定できるように9月に学内入学選考を実施している。入学希望者の選抜は、学力試験及び面接試験の結果を総合的に判断して行うことにしている。また、出願時に、一般入学選考における卒業論文または修士論文提出者を除き研究経過報告書(A4用紙に1500字程度)の提出を義務づけている。

【平成24年度9月実施の入試概要】

<学内入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:すべての大学院指導教授による面接試問

<一般入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:英語、研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問

<社会人入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師コース:英語、小論文、選抜された大学院指導教授による面接試問

【平成24年度2月実施の入試概要】

<一般入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:英語、研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問

<社会人入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師養成コース:英語、小論文、選抜された大学院指導教授による面接試問

臨床薬学コース及び医療生命薬学コースの出願時に、一般入学選考における卒業論文または修士論文提出者を除き研究経過報告書の提出を義務づけており、入学選考時に、研究に関する知識と技能や学位論文をまとめる能力の有無について評価できるよう配慮していることは評価できる。さらに、臨床薬学コース及びがん専門薬剤師養成コースの出願資格者は、臨床現場における実習を必修としているため、原則として日本国の薬剤師免許を有すること、または本課程入学年の4月までに薬剤師国家試験に合格見込みであることが必須条件とし、臨床に関連した研究を遂行できるようにしていることも評価できる。一方、医療生命薬学コースは、将来、リサーチマインドを有する薬剤師、健康食品や化粧品の研究開発および行政への申請に携わる人材、企業において医薬品の研究開発や治験に携わる人材、大学における基礎分野の研究者、国公立・財団法人・社団法人の各種研究機関における研究者など幅広い人材育成を想定している。

自己点検・評価

学内入学選考は、主に本学医療薬学科の卒業見込者を対象としているため、大学院での研究遂行に必要な語学力について指導教員が予め卒業研究等で確認しているため実施していない。また、プレゼンテーション能力についても、卒業研究時に口頭発表もしくはポスター発表を全学生に課しているため一定水準以上の能力を有するため必要ないと思われる。
一般入学選考では、他大学院の研究科もしくは他の研究科の者を対象としているため、語学力やプレゼンテーション能力に関する評価が必要であり、実施している。社会人入学選考は、企業や病院などにおいて臨床研究に携わっている者を対象としているため臨床薬学コース及び医療生命薬学コースではプレゼンテーションと面接試問のみで評価している。
がん専門薬剤師養成コースは、ワークコースとしての位置づけを明確とし、将来、がん薬物療法認定薬剤師の認定資格、さらにがん専門薬剤師の認定資格の取得を目指す人材の輩出を想定しているため、小論文を取り入れている。また、平成24年度がん専門薬剤師養成コースでは学術論文の作成に必要とされる語学力に関する評価も行った。しかし、社会人でがん専門薬剤師養成コースへの進学希望者は、既に病院等でがんに関する臨床研究を実施していると考えられるため、平成25年度募集より英語の試験を実施せず、入学後に確認試験を行う予定である。
これまでは、9月または2月実施で異なる選抜方法を行なっていたが、平成25年度より下記の通り、統一化する予定である。

【平成25年度9月及び2月実施の入試概要】

<学内入学選考(9月実施のみ)>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:すべての大学院指導教授による面接試問

<一般入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:英語、研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師養成コース:小論文、すべての大学院指導教授による面接試問

<社会人入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師コース:小論文、すべての大学院指導教授による面接試問

入学者数(平成24年度)

6年制学部卒業生 1 名、社会人 1 名、薬学部以外の卒業生 0 名

カリキュラムポリシー

臨床における薬物治療上の諸問題を評価し解決する能力、また医薬品の臨床応用や適正使用に役立つ幅広い分野の研究に貢献しうる人材を育成するため、次のようなカリキュラムを取り入れています。
特別実験研究および博士論文作成の重要性に鑑み、指導教員制度を採用し、きめ細かな教育研究指導を実施しています。
1つの専門分野に偏らない幅広い研究能力を養成するため、専修科目に加えて臨床専修科目や副専修科目を選択することを可能とし、臨床を含めた複数の専門分野の教育研究指導を受ける機会を設けています。
複数教員による科目横断的な先進特論を履修することで幅広い見識を養い、さらに、最先端の研究動向を学ぶために国内外の招聘研究者による先進特別講義を設けています。
演習・実務研修・臨床研究関連科目では、学内におけるセミナーと総説講演、学外での学会発表を通して発表能力を養うほか、臨床薬物療法における問題解決能力や臨床研究遂行能力を醸成します。
グローバル化に対応するため、英語発表に関する演習を導入し、学術雑誌に英文による論文発表を行うことを強く求めています。

ホームページへのリンク

自己点検・評価

薬学部出身者以外の卒業生の入学を想定し、臨床を含めた複数の専門分野の教育研究指導を受ける機会を設けている。さらに、演習科目、複数教員による科目横断的な先進特論や国内外の招聘研究者による先進特別講義を開講することで、幅広い見識を養える機会を設けている。医療の現場における臨床的な課題を対象とする研究領域を中心とした高度な専門性や優れた研究能力を有する薬剤師などの養成に重点をおいたカリキュラムとなっていることは評価できる。

カリキュラムの内容

薬剤師としての臨床実務能力を基盤とし、研究者の観点から薬物治療における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる人材、薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍し、グローバルな研究活動に対応できる人材を輩出することを目的としていることから、臨床研究を行う「臨床医療薬学系」、生物学的な観点から臨床医療に関連する研究を行う「医療生物薬学系」、化学的な観点から臨床医療に関連する研究を行う「医療化学系」の3つの学問分野におけるカリキュラムおよび科学英語コミュニケーション先進演習が設置されている。
 また、高度な臨床能力を涵養できるように臨床薬学先進実務研修・臨床研究として大学附属病院などの臨床現場での研修・研究で学修の機会を設けており、プレゼンテーション能力と幅広い見識をもつ有能な研究者を育成するために公開文献セミナーや総説講演、学会発表とその報告などの演習を設定している。
 高度な研究能力を有する薬剤師(ファーマシスト・サイエンティスト)の養成を目的とした「臨床薬学コース」、優れた研究能力を有する薬剤師、あるいは臨床を熟知した薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する薬剤師の養成を目的とした「医療生命薬学コース」、質の高い医師、薬剤師、看護師、医学物理士によるオンコロジーチームにおいて、がん治療に積極的に貢献できる薬剤師の養成を目的とした「がん専門薬剤師養成コース」において、履修モデルに示すように特別実験研究、専修科目、副専修科目及び臨床専修科目が属する先進特論、演習等の履修で計36単位以上を学修することを定めている。
 各分野の特別実験研究科目としては、「臨床医療薬学系」には臨床薬剤情報学、医薬品評価解析学及び医療薬剤学、「医療生物薬学系」には薬物治療学、薬物動態解析学、神経生化学及び機能製剤設計学、さらに「医療化学系」には公衆衛生学、生体分子解析学及び生命有機化学を開講し、それぞれ異なった角度から臨床医療、特に薬物治療の進歩に貢献する実学的研究を行う。臨床能力を基盤とした高度な医療の実現に貢献できる優れた研究能力を有する人材を育成することから、特別実験研究科目は「臨床医療薬学系」より専修科目として選択することを必須とすることによって、臨床系教員と非臨床系教員の共同指導の下、臨床に関連する研究テーマを選択して学位取得を目指す。特別実験研究科目における研究内容は授業シラバスに示しているが、それぞれのコースの例として、薬剤疫学的手法による医薬品適正使用に関する研究(「臨床薬学コース」)、高活性糖尿病治療薬の開発(「医療生命薬学コース」)、アポトーシス誘導薬剤に関する研究(「がん専門薬剤師養成コース」)など19の分野における研究テーマが設定されている。

自己点検・評価

高度な臨床能力とともに基礎科学的な観点からも医療を捉える能力を育成できるように「臨床医療薬学系」「医療生物薬学系」「医療化学系」のさまざまな分野におけるカリキュラムの設定と臨床系教員と非臨床系教員の共同指導システムが構築されている。また、設置されている授業科目は授業シラバスが示すように幅広い薬学分野の教育研究の機会の提供とグローバルへの対応も考慮しており、臨床の薬物治療に関連する幅広い研究を実施する環境として、薬学研究科 薬学専攻 博士課程で扱う内容としてふさわしいと評価できる。

別途シラバス及び教育課程等の概要(別紙様式第2号)
履修モデル

博士論文の研究を推進するために医療提供施設との連携体制をどのようにとるか(予定を含む)

薬学専攻博士課程では、薬剤師として医療に従事するだけでなく、研究者の観点から薬物治療における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できるいわゆるファーマシスト・サイエンティストの養成を主目的としている。また、薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する人を輩出していくことも念頭に置いている。そのため、1年以上の臨床現場での研修・研究を含めて臨床における課題に直結する研究を行う「臨床薬学コース」、臨床の薬物治療に関連するあらゆる分野の研究を行う「医療生命薬学コース」、3年間のがん専門病棟等における臨床研修・研究を含めてがん薬物療法に関する研究を行い、最先端の高度ながん治療に関する専門知識と研究者としての能力を併せ持つ薬剤師の育成を目指す「がん専門薬剤師養成コース」の3つのコースが設置されている。このうち、「臨床薬学コース」および「がん専門薬剤師養成コース」については、医療提供施設との連携による臨床研修・研究が必須となっている。

<臨床薬学コース>

「臨床薬学コース」の臨床研修・研究は近畿大学医学部附属病院、近畿大学医学部奈良病院および近畿大学医学部堺病院の医学部3病院を中心に実施する。これらの3病院に在籍する臨床経験豊富な薬剤師と本研究科の臨床系専任教員が連携して臨床薬学研究指導にあたる。医学部3病院薬剤部と本研究科の臨床薬学コースの教員は、学部学生における長期実務実習における指導も含め緊密な連携体制を既に構築している。特に附属病院(狭山)では、学生用セミナー室および臨床系専任教員のための研究室が設置されるなど研究環境も整備されている。また、近隣の医療施設との共同研究を実施するなど医学部3病院以外の医療施設とも緊密な連携に努めており、これらの医療施設において「医療薬学コース」学生の臨床研究を行うことも可能である。

<がん専門薬剤師養成コース>

「がん専門薬剤師養成コース」では、最初の1年間、がんに関する基礎的あるいは臨床的研究を行い、その後3年間、薬剤師としてがん患者の薬物療法に従事し、がんに関する臨床研究を行う。がん薬物療法先進実務研修・研究の主な実施場所は、本学医学部附属病院等日本医療薬学会のがん専門薬剤師研修認定施設とすることにより、充実したがんの実務研修を行うのに必要となる症例数を確保し、高いレベルの臨床研究を行うための設備・機材を担保する。指導には本研究科専任教員に加え、現場のがん専門薬剤師等の臨床薬剤師を加えることにより、薬物療法等薬学分野の能力の涵養を図る。さらに、医師のほか看護師や医学物理士等のコメディカルも指導に参画することで、集学的ながん治療全域についての広汎な知識、技能及び態度を修得し、次世代のチーム医療を実践及び向上させる能力を養う。

自己点検・評価

本学は医学部及び医学部3病院を擁する総合大学であるため、医療施設における臨床研究を遂行する体制が整っている。実際に学生が医学部3病院において臨床研究や実務研修を実施するための連携体制を強め、医療の現場における臨床的な課題を対象とする研究を行うことができる体制を構築する。

学位審査体制・修了要件

学位審査体制

近畿大学学位規程第1章総則第5条の規程(博士の学位の授与の要件)により博士論文の審査及び最終試験を実施する。学位論文の審査体制、方法・基準は研究科でも規定されており、専攻ごとに内規を設けて厳格に運用している。専修科目または副専修科目を担当した指導教員が主査となり、薬学研究科薬学専攻博士課程及び薬科学専攻博士後期課程において関連のある他の研究指導教員を2名以上、また、必要に応じて学内外の大学教員や協力企業の研究者を副主査として選定する。主査および副主査は、博士論文の審査及び最終試験を実施する。また最終試験とは別に、「公聴会(博士論文発表会)」を行い、専門分野における口述試験を行う。合否は近畿大学学位規程第3章博士の学位第1節課程修了による学位第19条の規程(合否の決定)により研究科委員会にて議決する。

修了要件

<臨床薬学コース>

4年以上在学し、専修科目の特別実験研究20単位(専修科目と副専修科目を選択する場合:各10単位、計20単位)を必修とする。また、専修科目及び副専修科目が属する先進特論を含めて、先進特論(各2単位)及び先進特別講義1、2(各3単位)の中から計8単位以上を修得する。さらに、臨床薬学先進実務研修・臨床研究(6単位)及びコース特別科目の臨床薬剤情報解析学特論(2単位)を必修とする。
 以上、臨床薬学コースでは、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
 また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を2報以上(第一著者論文および英語で書かれた論文を1報以上含む)行った上で、臨床系学会での研究発表を1回以上行わねばならない。

<医療生命薬学コース>

4年以上在学し、臨床専修科目及び専修科目の特別実験研究20単位を必修とする。また、臨床専修科目及び専修科目が属する先進特論を含めて、先進特論(各2単位)及び先進特別講義1、2(各3単位)の中から計8単位以上を修得する。さらに、医療生命薬学先進演習1~3(各2単位)の6単位及び科学英語コミュニケーション先進演習2単位を必修とする。
 以上、医療生命薬学コースでは、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
 また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を2報以上(第一著者論文および英語で書かれた論文を1報以上含む)行った上で、各専門分野の学会での研究発表を2回以上行うこと、2年または3年次に専門関連分野に関する総説講演を行うことも義務付けられている。

<がん専門薬剤師養成コース>

4年以上在学し、専修科目の特別実験10単位(専修科目と副専修科目を選択する場合:各5単位、計10単位)を必修とする。また、専修科目あるいは副専修科目が属する先進特論を含めて、計2単位以上を修得する。さらに、がん薬物療法先進実務研修・臨床研究の18単位及びコース特別科目として共通特論Ⅰ、共通特論Ⅱを含む6単位以上を学修する。
 以上、がん専門薬剤師養成コースにおいては、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
 また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を1報以上(第一著者論文を1報且つ、原則として英文で書かれた論文を1報以上含む)行った上で、がん領域の学会での研究発表を1回以上行わねばならない。
以上、各コースにおいて定められた単位数を修得した者又は論文審査終了までに修得する見込みのあるもので、かつ外国語の学力等に関する検定に合格した者に対しては、課程修了による博士論文の提出資格が与えられ、提出した論文の審査及び最終試験に合格すれば、課程修了による博士の学位が授与され、博士課程修了となる。

自己点検・評価

既に明確な学位審査規定を設定していることは評価できる。さらに、各コースに相応しいと考えられる修了要件を設定し、また、原著論文や学会発表の数や学位論文の提出条件を明文化していることは評価できる。

ディプロマポリシー

臨床に精通した薬学研究者として活躍するため、あるいは研究者の観点から臨床薬物療法の進歩に貢献するために必要な幅広い学識、研究能力、問題解決能力を身に付けたことを客観的に評価し、所定の単位を修得した学生に修了を認定し、博士(薬学)を授与する。課程修了までに満たしておくべき条件を以下に示します。

1.
研究成果に基づく博士論文を提出するとともに、公聴会で口頭発表を行い、最終試験に合格していること。
2.
博士学位論文の内容を、専門領域における学会で発表し、厳格な審査制度が確立した学術雑誌に論文を発表していること。なお、原則として掲載論文のうち少なくとも1報は英文であり、第一著者として発表した論文が含まれていること。
3.
臨床を含む幅広い薬学領域において、研究活動を自立して遂行する能力を身に付けていること。

ホームページへのリンク

自己点検・評価

薬剤師免許を持つ「臨床薬学コース」と「がん専門薬剤師養成コース」の学生は、主に臨床に精通した薬学研究者やチーム医療を実践できる臨床薬剤師として、社会で活躍できる人材としての育成を目指している。一方、薬学部出身者以外の卒業生は、「医療生命薬学コース」へ入学することになるが、将来、臨床に精通した薬学研究者として医療に貢献できる人材としての育成を目指している。つまり、将来、健康食品や化粧品の研究開発および行政への申請に携わる人材、企業において医薬品の研究開発や治験に携わる人材、大学における基礎分野の研究者、国公立・財団法人・社団法人の各種研究機関における研究者などの輩出を想定している。したがって、本専攻では常に臨床を意識して臨床に関連する教育研究を行うことになり、薬科学専攻博士後期課程での教育研究内容が大きく異なり特化していることは評価できる。