自己点検・評価 様式(平成28年度実施)

大学名:近畿大学大学院
研究科・専攻名:薬学研究科薬学専攻 博士課程

入学者数、在籍者数、退学者・修了者数

平成24年度入学者 平成25年度入学者 平成26年度入学者 平成27年度入学者 平成28年度入学者 平成29年度入学者
入学者数 2名(定員3名) 3名(定員3名) 5名(定員3名) 5名(定員3名) 2名(定員3名) 4名(定員3名)
入学者数内訳 6年制薬学部卒業生 1名(内社会人0名) 1名(内社会人0名) 4名(内社会人1名) 5名(内社会人1名) 2名(内社会人0名) 4名(内社会人1名)
4年制薬学部卒業生 1名(内社会人1名) 2名(内社会人2名) 1名(内社会人1名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名)
薬学部以外の卒業生 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名) 0名(内社会人0名)
在籍者数(平成29年5月1日現在) 0名 0名 4名 5名 2名 4名
既退学者数 2名(内除籍1名) 2名 1名(内除籍1名) 0名 0名 0名
既修了者(学位取得者)数 0名 1名 - - - -

「理念とミッション」、「アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー」と実際に行われている教育との整合性

理念とミッション

薬学研究科では、薬学に関する独創的な研究を行い、卓越した洞察力と問題解決能力によって将来多様な薬学領域において指導的立場で活躍できる人材を育成し、社会に輩出することにより人類の福祉と健康に貢献することを理念としている。薬学専攻では、 主に6年制薬学部(薬学科)を卒業し薬剤師免許を取得した(あるいは取得見込の)学生のうち、研究に強い興味をもち、科学を通してヒトの健康の増進に貢献したい人を対象に、いわゆるファーマシスト・サイエンティストを養成することを主目的としている。すなわち、薬剤師として医療に従事するだけでなく、研究者の観点から薬物治療における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる人材を養成する。また、薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する人を輩出していくことも念頭に置いています。そのため、本専攻では、臨床における薬物治療に関連する研究テーマについて、常に臨床を意識して研究を行う。1年以上の臨床現場での研修・研究を含めて臨床における課題に直結する研究を行う「臨床薬学コース」、臨床の薬物治療に関連するあらゆる分野の研究を行う「医療生命薬学コース」、3年間以上のがん専門薬剤師研修認定施設における臨床研修・研究を含めて、最先端の高度ながん治療に関する専門知識と研究者としての能力を併せ持つ薬剤師の育成を目指す「がん専門薬剤師養成コース」を設置している。併設する薬科学専攻博士後期課程との最も大きな相違は、薬学専攻では常に臨床を意識して臨床に関連する教育研究を行うことである。すなわち、「臨床薬学コース」では、臨床教員が担当する臨床医療薬学系の3科目のうち1科目を専修科目として選択した上で、本人の希望により、本専攻の医療生物薬学系、医療化学系、さらに薬科学専攻の開講科目のうち1科目を副専修科目として選択し、複数教員の指導下で科目横断的な研究を行うことができる。さらに平成25年度から国立循環器病研究センター、平成26年度からは、堺市立総合医療センターと連携協定を締結し、学外講座を各施設薬剤部に設置するとともに、担当教授を配置し、教育・臨床研究を行う環境を整備している。「医療生命薬学コース」では、臨床系(実務家)教員が担当する臨床医療薬学系より1科目を臨床専修科目として選択した上で、医療生物薬学系、医療化学系、さらに薬科学専攻の開講科目のうち1科目を専修科目として選択し、臨床系教員と基礎系教員の指導の下、常に臨床を意識し、薬物治療に関連する幅広い研究を行う。「がん専門薬剤師養成コース」では、臨床現場で先進的かつ質の高いがん薬物療法を行う技能と態度及び臨床研究能力を修得させるため、3年以上のがん薬物療法先進実務研修・臨床研究を実施している。実施場所は本学医学部附属病院等のがん専門薬剤師研修認定施設であり、がん患者の薬物療法に従事し、がんに関する臨床研究・基礎研究を行う。また、各大学附属病院の医師、薬剤師(がん指導薬剤師、がん専門薬剤師)、看護師、医学物理士による多職種の指導体制の下で「SPを用いた職種横断的臨床課題演習」、「職種横断的ケーススタディー演習」、全国の著名な医師、薬剤師、看護師による「共通特論Ⅰ、Ⅱ」等、多職種が合同で行う演習、講義を必修とし、チーム医療を実践しながら、研究者の観点から薬物療法における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる教育・研究環境を整備している。

自己点検・評価

このような理念とミッションは、薬学系人材養成の在り方に関する検討会から提言されている4年制博士課程の主たる目的に照らし合わせて相応しいものと考える。また本専攻では教育研究目的の特徴を明確にするためコース制度を導入している点は評価できる。すなわち、「臨床薬学コース」では、臨床系(実務家)教員が担当する科目を専修科目とする事、1年以上の臨床現場での実務研修・臨床研究を必修としている事はいわゆるファーマシスト・サイエンティストを養成する目的と整合性が認められる。特に医療機関2施設と連携協定を締結し、各連携協定締結医療施設に連携講座を設置し、教員を配置している事は、ファーマシスト・サイエンティストを育成する良いモデルと考えられ、研究者の観点から薬物療法における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる薬剤師を養成するという、理念とミッションに相応しいとともに、その環境を整備している事も評価できる。「医療生命薬学コース」でも、臨床の薬物治療に関連するあらゆる分野の研究を行うため、臨床教員が担当する科目を臨床専修科目とし、専修科目の基礎系教員と指導を実施している事は、常に臨床を意識するという理念とミッションに合致するものと考えられる。「がん専門薬剤師養成コース」は、質の高いがん薬物療法を行う技能と態度及び臨床研究能力を修得させるため、がん専門薬剤師研修認定施設での実務研修・研究を実施しており、本研究科教員を含めた医師、薬剤師、看護師の多職種による指導体制を実施している事は評価できる。また多職種の大学院生が一堂に会しチーム医療を実践する講義・演習の形態も特色があり評価できる。

アドミッションポリシー

薬学研究科では、薬学に関する独創的な研究を行い、卓越した洞察力と問題解決能力によって将来多様な薬学領域において指導的立場で活躍できる人材を育成し、社会に輩出することにより人類の福祉と健康に貢献することを理念としています。そのため、創薬科学、生命薬学及び医療薬学の分野で、多岐に亘る高度な専門的能力を有する研究者又は専門薬剤師を育成するために、次のような入学者を受け入れます。

1.
高い倫理観を持ち、人々の健康と福祉に貢献する意欲のある人。
2.
薬学及び生命科学に関する確かな基礎学力を有し、主体的に学ぶ態度を身につけ、自ら課題を発見し探求する意欲のある人。
3.
薬学及び生命科学における幅広い知識と深い専門性を有し、論理的かつ柔軟な思考力と、豊かな創造性を備えた人。
4.
生涯に亘って研究意欲と向上心を持ち続け、研鑽を積む意欲のある人。
5.
高度な研究能力を取得して、将来グローバルに活躍する意欲のある人。

入学選考においては、志願者の様々な能力や倫理観について、学力試験、小論文、面接、プレゼンテーションなどにより総合的に評価します。

自己点検・評価

薬学専攻博士課程は、主に6年制学科で医療に関する専門知識を身に付けた後、さらに薬学及び臨床医療の現場における臨床に関する幅広い知識と、臨床に関連した研究を通して人々の健康と福祉に貢献する意欲のある人材を受け入れている。一方、薬科学専攻博士後期課程は、高い倫理観を持つ生命科学研究者になりたい人材や薬学研究を通して社会に貢献しようとする意欲があり、新しい課題に取り組もうとする人材を受け入れている。両専攻の入学者受入れ方針は、大きく異なっていることは評価できる。また、このアドミッションポリシーは、本専攻の理念・ミッションあるいは設置された3つのコースの教育と合致したものであり評価できる。

カリキュラムポリシー

創薬科学研究、生命薬学研究及び医療薬学研究を通じ、研究者又は専門薬剤師の観点をもって活躍できる人材及び薬学における知識と経験を専門領域の研究に応用できる人材を育成するために、以下のようなカリキュラムを取り入れます。

1.
特別実験研究及び論文作成の重要性に鑑み、指導教員制度を採用し、きめ細かな教育研究指導を実施します。
2.
1つの専門分野に偏らない幅広い研究能力を育成するため、専修科目に加えて臨床専修科目や副専修科目の選択を可能とし、複数の専門分野の教育研究指導を受ける機会を提供します。
3.
複数教員による科目横断的な先進特論を履修することで幅広い見識を養い、さらに、最先端の研究動向を学ぶために国内外の招聘研究者による先進特別講義を提供します。
4.
実務研修・臨床研究関連科目では、臨床薬物療法における問題解決能力や臨床研究遂行能力を醸成します。
5.
発表能力を醸成するために積極的な学会発表活動を奨励します。
6.
グローバル化に対応するため英語発表に関する演習を取り入れます。

自己点検・評価

 薬学専攻博士課程では、常に臨床を意識して臨床に関連する教育研究を実施するカリキュラムとなっている。
 「臨床薬学コース」では、臨床現場での研修及び臨床に直結した1年以上の研究を行い、臨床医療薬学系の3科目(臨床薬剤情報学、医薬品評価解析学、医療薬剤学)のうち1科目を専修科目として選択した上で、本人の希望により、本専攻の医療生物薬学系(薬物治療学、薬物動態解析学、神経生化学、機能製剤設計学)、医療化学系(公衆衛生学、病態分子解析学、生命有機化学)、さらに薬科学専攻の開講科目のうち1科目を副専修科目として選択し、複数教員の指導下で科目横断的な研究を行うことができる。
「医療生命薬学コース」では、臨床の薬物治療に関連するあらゆる分野の研究を行い、臨床医療薬学系の科目を臨床専修科目として選択した上で、医療生物薬学系、医療化学系、さらに薬科学専攻の開講科目を専修科目として選択し、臨床系教員と基礎系教員の指導の下、常に臨床を意識し、薬物治療に関連する幅広い研究をすることができる。
「がん専門薬剤師養成コース」では、がん専門薬剤師研修認定施設において3年間のがん薬物療法先進実務研修・臨床研修及びがん薬物療法に関する研究行い、臨床現場で先進的かつ質の高いがん薬物療法を行う技能と態度及び臨床研究能力を修得する。また、全コースで、学術雑誌への投稿や国際学会発表に対応できる能力を醸成できる科学英語コミュニケーション先進演習を開講しており、グローバル化への対応が充実していることは評価できる。さらに、演習科目、複数教員による科目横断的な先進特論や国内外の招聘研究者による先進特別講義を開講することで、幅広い見識を養える機会を設けている。
薬学専攻博士課程のカリキュラムは、臨床における薬物治療上の諸問題を評価し解決する能力、また医薬品の臨床応用や適正使用に役立つ幅広い分野の研究に貢献しうる人材の育成に重点をおいたものとなっている。一方、薬科学専攻博士後期課程のカリキュラムは、創薬科学及び生命薬科学とその関連領域における優れた研究能力を擁する人の育成に努め、医薬品の創製・開発や安全性の向上、あるいは薬学的観点から生命科学の進歩に貢献しうる人を育成するためのものである。両専攻の教育課程編成・実施の方針は、大きく異なっていることは評価できる。

ディプロマポリシー

創薬科学研究、生命薬学研究及び医療薬学研究を通じ、研究者又は専門薬剤師の観点をもって自立して研究活動を遂行できる能力を身につけ、所定の単位を修得した学生に修了を認定し、学位を授与します。修了までに満たしておくべき条件を以下に示します。

1.
研究成果に基づく論文を提出するとともに、公聴会で口頭発表を行い、最終試験に合格していること。
2.
専門領域における学会発表、学術雑誌における論文発表などの研究実績があること。
3.
高い倫理観を有し、人々の健康と福祉への貢献が期待できること。
4.
薬学専門領域において、研究活動を自立して遂行する能力を身につけていること。
5.
グローバルな活躍が期待できること。

自己点検・評価

 薬剤師免許を持つ「臨床薬学コース」と「がん専門薬剤師養成コース」の学生は、主に臨床に精通した薬学研究者やチーム医療を実践できる臨床薬剤師として、社会で活躍できる能力を身に付けていることが必要である。また、「医療生命薬学コース」の6年制学科または薬学部出身者以外の学生は、臨床に精通した薬学研究者として医療に貢献できる能力を身に付けていることが必要である。つまり、将来、健康食品や化粧品の研究開発及び行政への申請に携わる人材、企業において医薬品の研究開発や治験に携わる人材、大学における基礎分野の研究者、国公立・財団法人・社団法人の各種研究機関における研究者等の輩出を想定している。したがって、本専攻では、設置された3つのコースの特徴を活かして常に臨床を意識した教育研究を行うことになる。
 薬学専攻博士課程では、臨床に精通した薬学研究者として活躍するため、あるいは研究者の観点から臨床薬物療法の進歩に貢献するために必要な幅広い学識、臨床研究能力、問題解決能力を身に付けていることが必要である。一方、薬科学専攻博士後期課程では、薬学・生命科学分野の自立した研究者として研究活動を行うために必要な研究能力、創造力を身に付けていることが必要である。両専攻の学位授与方針は、大きく異なっていることは評価できる。

入学者選抜の方法

9月中旬(9月実施)に学内入学選考、一般入学選考、社会人入学選考を、2月中旬(2月実施)に一般入学選考、社会人入学選考、外国人留学生入学試験を実施している。特に、6年制学科(本学では医療薬学科)卒業見込みの学生に、早期に進路を決定できるように9月に学内入学選考を実施している。入学希望者の選抜は、学力試験及び面接試験の結果を総合的に判断して行うことにしている。また、出願時に、成績証明書及び一般入学選考における卒業論文または修士論文提出者を除き研究経過報告書または研究計画書(A4用紙に1,200字~3,000字)の提出を義務づけている(外国人留学生入学試験を除く)。

【平成30年度9月及び2月実施の入試概要】

<学内入学選考(9月実施のみ)>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:成績証明書、推薦書、卒業論文を提出の上、すべての大学院指導教授による面接試問

<一般入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:成績証明書、卒業論文(6年制学部卒業者または修士論文)、研究報告書または研究計画書を提出の上、研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーション及び大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師養成コース:成績証明書、卒業論文(6年制学部卒業者または修士論文)、研究報告書または研究計画書を提出の上、小論文とすべての大学院指導教授による面接試問

<社会人入学選考>

臨床薬学コース及び医療生命薬学コース:成績証明書、職場の長の推薦書、研究報告書または研究計画書を提出の上、研究内容及び研究計画に関するプレゼンテーションとすべての大学院指導教授による面接試問
がん専門薬剤師コース:成績証明書、職場の長の推薦書、研究報告書または研究計画書を提出の上、小論文とすべての大学院指導教授による面接試問

<外国人留学生入学試験>

医療生命薬学コース:成績証明書、日本語(日本留学試験)、英語とすべての大学院指導教授による面接試問(志望専攻分野に関する専門試験を含む)

臨床薬学コース及び医療生命薬学コースの出願時に、一般入学選考における卒業論文または修士論文提出者を除き研究報告書または研究計画書の提出を義務づけており、入学選考時に、研究に関する知識と技能や学位論文をまとめる能力の有無について評価できるよう配慮している。さらに、臨床薬学コース及びがん専門薬剤師養成コースの出願資格者は、臨床現場における実習を必修としているため、原則として日本国の薬剤師免許を有すること、または本課程入学年の4月までに薬剤師国家試験に合格見込みであることを必須条件とし、臨床に関連した研究を遂行できるよう配慮している。一方、医療生命薬学コースは、将来、リサーチマインドを有する薬剤師、健康食品や化粧品の研究開発及び行政への申請に携わる人材、企業において医薬品の研究開発や治験に携わる人材、大学における基礎分野の研究者、国公立・財団法人・社団法人の各種研究機関における研究者等の幅広い人材育成を想定している。

自己点検・評価

学内入学選考、一般入学選考、社会人入学選考及び外国人留学生入学試験の詳細については「大学院学生募集要項 大学院研究科概要」、「大学院・外国人留学生入学試験要項」等に明示し、適切に学生募集を行っている。入学者選考にあたっては、出願時に提出された成績証明書を確認の上、学力試験及び研究経過報告書あるいは研究計画書に基づき、すべての大学院指導教授による面接試問によって点数化することで、客観的且つ厳格に判定している事は評価できる。
実施された選考結果は、薬学研究科に所属する全教員から構成される研究科運営委員会にて開示し、審議を経て 承認しており、透明性を確保している事も評価できる。

カリキュラムの内容

 薬剤師としての臨床実務能力を基盤とし、研究者の観点から薬物治療における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できる人材、薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍し、グローバルな研究活動に対応できる人材を輩出することを目的としている。したがって、臨床研究を行う「臨床医療薬学系」、生物学的な観点から臨床医療に関連する研究を行う「医療生物薬学系」、化学的な観点から臨床医療に関連する研究を行う「医療化学系」、創薬を主軸に臨床医療に関連する研究を行う「生命薬科学系」・「創薬科学系」の5つの学問分野におけるカリキュラム及び科学英語コミュニケーション先進演習が設置されている。
 また、高度な臨床能力を涵養できるように臨床薬学先進実務研修・臨床研究として大学附属病院及び連携協定締結医療施設等の臨床現場での研修・研究で学修の機会を設けている。また、プレゼンテーション能力と幅広い見識を持つ有能な研究者を育成するために臨床薬学先進実務研修・臨床研究で学会発表、医療生命薬学先進演習で学会発表と総説講演の課題・演習を設定している。
高度な研究能力を有する薬剤師(ファーマシスト・サイエンティスト)の養成を目的とした「臨床薬学コース」、優れた研究能力を有する薬剤師、あるいは臨床を熟知した薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する薬剤師の養成を目的とした「医療生命薬学コース」、質の高い医師、薬剤師、看護師、医学物理士によるオンコロジーチームにおいて、がん治療に積極的に貢献できる薬剤師の養成を目的とした「がん専門薬剤師養成コース」において、履修モデルに示すように特別実験研究、専修科目、副専修科目及び臨床専修科目が属する先進特論、演習等の履修で計36単位以上を学修することを定めている。
 各分野の特別実験研究科目としては、「臨床医療薬学系」には臨床薬剤情報学、医薬品評価解析学、医療薬剤学及び外部講座として循環器薬物療法学、臨床処方解析学、「医療生物薬学系」には薬物治療学、薬物動態解析学、神経生化学及び機能製剤設計学、「医療化学系」には公衆衛生学、病態分子解析学及び生命有機化学、「生命薬科学系」には病態薬理学、化学療法学及び薬品分析学、「創薬科学系」には分子細胞生物学、薬用資源学、天然活性物質学、創薬分子設計学、医薬品化学及び分子医療・ゲノム創薬学を開講し、それぞれ異なった角度から臨床医療、特に薬物治療の進歩に貢献する実学的研究を行う。臨床能力を基盤とした高度な医療の実現に貢献できる優れた研究能力を有する人材を育成することから、特別実験研究科目は「臨床医療薬学系」より専修科目として選択することを必須とすることによって、臨床系教員と基礎系教員の共同指導の下、臨床に関連する研究テーマを選択して学位取得を目指す。また、1つの専門分野に偏らない幅広い研究能力を育成するため専修科目に加えて副専修科目を選択することを可能としている。特別実験研究科目における研究内容は授業シラバスに示しているが、それぞれのコースの例として、腎機能低下症例における処方の留意事項および薬剤の有効性安全性に関わる研究(「臨床薬学コース」)、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の治療標的分子としてのT型カルシウムチャネルの可能性に関する研究(「医療生命薬学コース」)、抗がん剤、支持療法薬の有効性および安全性に関する研究(「がん専門薬剤師養成コース」)等の研究テーマが設定されている。

自己点検・評価

薬学研究科薬学専攻博士課程は基礎科学的な観点から薬学を深く探求する薬科学専攻と異なり、高度な臨床能力を基軸にした観点から、臨床におけるエビデンスの探求及び薬物療法に寄与できる創薬や作用機序を解明する能力を育成できるように「臨床医療薬学系」「医療生物薬学系」「医療化学系」「生命薬科学系」「創薬科学系」のさまざまな分野におけるカリキュラムの設定、臨床系教員と基礎系教員の共同指導システムが構築されている。また、1つの専門分野に偏らない幅広い研究能力を育成するため、臨床専修科目に加え副専修科目を選択することを可能とし、臨床を含めた幅広い教育研究指導を受ける機会を提供している。さらに設置されている授業科目は授業シラバスが示すように幅広い薬学分野の教育研究の機会の提供と科学英語コミュニケーション先進演習の導入等のグローバル化への対応も考慮しており、臨床の薬物治療に関連する幅広い研究を実施する環境である。さらに学内だけでなく実践的な臨床に接することが可能な外部の大学附属病院及び連携協定締結医療施設に教育研究の場が設けられており、広い視野での問題解決能力の醸成を可能なカリキュラム対応となっている。以上、本カリキュラムの内容は、薬学研究科薬学専攻博士課程で扱う内容としてふさわしいと評価できる。

シラバス及び教育課程等の概要(別紙様式第2号)
履修モデル

全大学院生の研究テーマ

研究テーマ名 研究の概要
1 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の治療標的分子としてのT型カルシウムチャネルの可能性に関する研究 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群で認められる膀胱痛に対する治療薬を開発するため、実験動物モデルを作製し、一次知覚神経に発現するT型カルシウムチャネルの挙動と役割を解析している。
2 過敏性腸症候群における結腸痛の発症メカニズムと循環器系医薬品の臨床における適正使用に関する研究 実験動物を用いた結腸痛メカニズムを解析し、過敏性腸症候群の新しい治療標的分子を見出すための基礎研究を行っている。また、平成30年度より、国立循環器病研究センターにおいて、実際に使用されている循環器系医薬品の使用状況を解析し、適正使用の改善に向けた研究を実施する。
3 ポリファーマシーの実態ならびに治療効果に及ぼす影響に関する調査研究 処方データベースの解析により、多剤併用の実態を解析する。
4 免疫抑制剤の薬力学・薬物動態学的研究 心臓移植患者の免疫抑制療法に用いるタクロリムスの薬力学・薬物動態学的研究を行う。
5 新規経口抗凝固薬の出血副作用に関する研究 経口新規抗凝固薬の出血副作用をワルファリンと比較することにより安全性リスク評価を行う。
6 アミオダロンによる甲状腺機能障害に関する研究 クラスⅢ群抗不整脈薬のアミオダロンの重篤な副作用である甲状腺機能障害について、データマイニング研究およびコホート研究によって評価する。
7 循環器用薬の薬物血中濃度測定による有害事象の防止に関する研究 経口新規抗凝固薬DOACの血中濃度測定により、血中濃度測定による安全性確保の臨床的意義について検討する。
8 揮発性製剤の移行性および安全性対策における研究 揮発する様々な医薬品における特性と有害性を有する薬剤を無毒化する方策を検討する。
9 腎機能低下症例における処方の留意事項および薬剤の有効性安全性に関わる研究 重要な課題である腎機能低下患者における医薬品適正使用につながる処方システムおよび有効性・安全性に影響を及ぼす腎機能正常患者と比較検討を行う。
10 認知症における天然物の有効性検討と認知症啓発における研修システムの構築 認知症に有効とされる天然物の作用機序の解明および在宅医療に貢献するために必須である認知症に対する適切な知識・認識を得るために有効な研修システムの検証を行う。
11 がん化学療法の支持療法の評価解析 臨床データから、薬剤投与、血液検査値、症状(感染症を含む)などから抗悪性腫瘍剤(レジメン)と制吐剤、顆粒球コロニー刺激因子、輸血などの支持療法における有用性などを解析する。
12 PKC/MAPKシグナルの空間的制御メカニズム PKC/MAPKシグナルは高度に保存された細胞内シグナル伝達経路であり、その生理的役割は、細胞増殖、炎症、細胞内輸送、ストレス応答、分化と多岐にわたる。また、PKC MAPKシグナルの破綻はがんや自己免疫疾患など、ヒトの病気とも深く関わることから、その制御機構の解明は重要な課題である。PKC/MAPKシグナルの活性化におけるリン酸化による翻訳後修飾の重要性はいうまでもなく、創薬開発においてもリン酸化阻害薬を探索することが一つの重要な方策である。一方近年、シグナル経路の構成因子の局在を空間的に制御することによるシグナルの遮断あるいは基質、制御因子との結合を妨げることが可能になりつつある。本研究ではこれらの構成因子の空間的制御機構に焦点をあて、またそれらを創薬へと応用する際の課題および克服する戦略について詳細に解析を行う。
13 糖鎖分析法の開発と天然物由来糖鎖の機能性研究 糖は一般的に発色団、発蛍光団をもたず、電荷も非常に弱いため、高感度で高性能な分析が難しい試料の一つである。そこで、中性糖の高性能分離分析法を開発し、天然物由来糖鎖の分析を行う。
14 抗がん剤、支持療法薬の有効性および安全性の研究
  • 乳がん骨転移患者での骨吸収抑制薬投与による骨関連事象の効果予測
  • 肺がん患者でのEGFR遺伝子変異の有無によるゲフィチニブ治療時の有効性および安全性の比較検討。
15 新規抗癌抗体医薬品の開発研究 抗癌標的分子の免疫、細胞融合、ハイブリドーマのスクリーニング、遺伝子組換えによるヒト化を行う。

医療機関・薬局等関連施設と連携した教育・研究体制

薬学専攻博士課程では、薬剤師として医療に従事するだけでなく、研究者の観点から薬物治療における諸問題を解決し、より高度な医療の実現に貢献できるいわゆるファーマシスト・サイエンティストの養成を主目的としている。また、薬剤師としての視点をもって、新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍する人を輩出していくことも念頭に置いている。そのため、1年以上の臨床現場での実務研修・臨床研究を含めて臨床における課題に直結する研究を行う「臨床薬学コース」、臨床の薬物治療に関連するあらゆる分野の研究を行う「医療生命薬学コース」、3年以上の実務研修・臨床研究を含めてがん薬物療法に関する研究を行い、最先端の高度ながん治療に関する専門知識と研究者としての能力を併せ持つ薬剤師の育成を目指す「がん専門薬剤師養成コース」の3つのコースが設置されている。このうち、「臨床薬学コース」及び「がん専門薬剤師養成コース」については、医療提供施設との連携による実務研修・臨床研究が必須となっている。

<臨床薬学コース>

「臨床薬学コース」では、国立循環器病研究センター薬剤部との連携講座として「循環器薬物療法学」、堺市立総合医療センター薬剤部との連携講座として「臨床処方解析学」を開設し、両医療機関のレジデント制度を利用して3年~4年に亘る臨床研修・臨床研究を実施できる体制を整えている。なお、両連携講座では、薬剤部に勤務する薬剤師が大学院教員として研究指導に参画しているほか、本学教員も連携講座の指導教員として臨床研究の進行に責任をもつ体制をとっており、「臓器移植患者における免疫抑制薬の血中濃度モニタリングに関する臨床研究」のほか、「症例解析や処方解析などに関する臨床研究」が進んでいる。一方、上記2つの外部施設で実施されているレジデント制度を利用した連携講座方式を、附属病院薬剤部における臨床研修・臨床研究にも導入し、新たな連携講座「先端医療薬学」を設置するための準備がほぼ完了している。本連携講座では、1年~2年間の薬学研究科(薬学部)内教員の指導によって進められる「臨床に直接関係する基礎研究」と、2年~3年間の附属病院薬剤部における臨床薬学研究(特に肺がん、血液疾患などの薬物療法について)を行うことで、真のファーマシスト・サイエンティストの養成を目指す。

<医療生命薬学コース>

「医療生命薬学コース」では、医療機関・薬局等関連施設と直接連携する形はとっていないが、演習科目の中で、外部の医療機関や研究機関における約1ヵ月間のインターンシップを義務付けており、この間に医療現場との接点をもつことが可能である。

<がん専門薬剤師養成コース>

4年以上在学し、専修科目の特別実験研究10単位(専修科目と副専修科目を選択する場合:各5単位、計10単位)を必修とする。また、専修科目あるいは副専修科目が属する先進特論を必修として、計2単位以上を修得する。さらに、がん薬物療法先進実務研修・臨床研究の18単位及びコース特別科目として共通特論Ⅰ、Ⅱ(各2単位)を必修とし、SPを用いた職種横断的臨床課題演習、職種横断的ケーススタディー演習、がん薬物療法課題演習(各1単位)、共通特論Ⅲ、科学英語コミュニケーション先進演習(各2単位)から2単位以上を学修する。
  以上、がん専門薬剤師養成コースにおいては、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
  また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を1報以上(第一著者論文を1報、英文を1報以上含むよう努めなければならない)行った上で、がん領域の学会での研究発表を1回以上行わねばならない。 以上、各コースにおいて定められた単位数を修得した者または論文審査終了までに修得する見込みのある者で、かつ外国語の学力等に関する検定に合格した者に対しては、課程修了による博士論文の提出資格が与えられ、提出した論文の審査及び最終試験に合格すれば、課程修了による博士の学位が授与され、博士課程修了となる。

自己点検・評価

本学は医学部及び医学部3病院を擁する総合大学であるため、医療施設における臨床研究を遂行する体制が整っているが、2つの外部医療機関との連携講座を設置し、レジデント制度を利用した臨床研究・臨床研究の充実が図られている点は極めて独創的であり、且つ有意義な取組みであるため、高く評価できる。さらに、本学附属病院薬剤部との同様の連携講座を設置する準備も整い、真のファーマシスト・サイエンティストを養成するための環境整備が進められていることは評価に値する。また、がん専門薬剤師養成コースにおいて、医師のほか看護師や医学物理士等も指導に参画していることは他職種との連携という意味において評価できる。

学位審査体制・修了要件

【学位審査体制】

近畿大学学位規程第1章総則第5条の規程(博士の学位授与の要件)により博士論文の審査及び最終試験を実施する。学位論文の審査体制、方法・基準は研究科でも規定されており、内規を設けて専攻ごとに厳格に運用している。専修科目または副専修科目を担当した指導教員が主査となり、薬学研究科薬学専攻博士課程及び薬科学専攻博士後期課程において関連のある他の研究指導教員を2名以上、また、必要に応じて学内外の大学教員や協力企業の研究者を副主査として選定する。主査及び副主査は、博士論文の審査及び最終試験を実施する。また最終試験とは別に、「公聴会(博士論文発表会)」を行い、専門分野における口述試験を行う。合否は近畿大学学位規程第3章博士の学位第1節課程修了による学位第19条の規程(合否の決定)により研究科委員会にて議決する。

【修了要件】

<臨床薬学コース>

 4年以上在学し、専修科目の特別実験研究20単位(専修科目と副専修科目を選択する場合:各10単位、計20単位)を必修とする。また、専修科目及び副専修科目が属する先進特論を必修として、先進特論(各2単位)及び先進特別講義1、2(各3単位)の中から計8単位以上を修得する。さらに、臨床薬学先進実務研修・臨床研究(6単位)及びコース特別科目の臨床薬剤情報解析学特論(2単位)を必修とする。なお、臨床医療薬学系連携講座を専修科目として選択する場合は、専修科目及び副専修科目の特別実験研究20単位、専修科目、副専修科目が属する先進特論(各2単位)及び臨床薬剤情報学特論講義(2単位)、臨床薬学先進実務研修・臨床研究(6単位)を必修とし、先進特論、先進特別講義1、2(各3単位)、科学英語コミュニケーション先進演習(2単位)の中から4単位以上を習得する。
 以上、臨床薬学コースでは、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
 また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を2報以上(第一著者論文及び英語で書かれた論文を1報以上含む)行った上で、臨床系学会での研究発表を1回以上行わねばならない。

<医療生命薬学コース>

4年以上在学し、臨床専修科目及び専修科目の特別実験研究20単位を必修とする。また、臨床専修科目及び専修科目が属する先進特論を必修として、先進特論(各2単位)及び先進特別講義1、2(各3単位)の中から計8単位以上を修得する。さらに、医療生命薬学先進演習1~3(各2単位)の6単位及び科学英語コミュニケーション先進演習(2単位)を必修とする。
以上、医療生命薬学コースでは、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を2報以上(第一著者論文、英文を1報以上含む)行った上で、各専門分野の学会での研究発表を2回以上行うこと、専門関連分野に関する総説講演を行うことも義務付けられている。

<がん専門薬剤師養成コース>

 4年以上在学し、専修科目の特別実験研究10単位(専修科目と副専修科目を選択する場合:各5単位、計10単位)を必修とする。また、専修科目あるいは副専修科目が属する先進特論を必修として、計2単位以上を修得する。さらに、がん薬物療法先進実務研修・臨床研究の18単位及びコース特別科目として共通特論Ⅰ、Ⅱ(各2単位)を必修とし、SPを用いた職種横断的臨床課題演習、職種横断的ケーススタディー演習、がん薬物療法課題演習(各1単位)、共通特論Ⅲ、科学英語コミュニケーション先進演習(各2単位)から2単位以上を学修する。
 以上、がん専門薬剤師養成コースにおいては、計36単位以上を学修しなければならない。なお、指導教員が必要と認めたとき、学生は所定の単位数以外に、その指示された先進特論あるいは先進特別講義も履修しなければならない。
また本コースでは、厳格な審査制度の確立した学術雑誌への原著論文の発表を1報以上(第一著者論文を1報、英文を1報以上含むよう努めなければならない)行った上で、がん領域の学会での研究発表を1回以上行わねばならない。
 以上、各コースにおいて定められた単位数を修得した者または論文審査終了までに修得する見込みのある者で、かつ外国語の学力等に関する検定に合格した者に対しては、課程修了による博士論文の提出資格が与えられ、提出した論文の審査及び最終試験に合格すれば、課程修了による博士の学位が授与され、博士課程修了となる。

自己点検・評価

明確な学位審査基準を設定していることは評価できる。また、各コースに相応しいと考えられる特別実験研究、講義、実務研修・臨床研究、演習等からなる科目の履修要件を設定するとともに、学会発表や総説講演等のプレゼンテーションも各コースで必修の実務研修・臨床研究や演習等の単位としている。これは、知識、技術の修得のみならず、研究を遂行し、成果をまとめる能力を修了要件としていることであり、ディプロマポリシーを反映しており評価できる。さらに、審査制度ある学術雑誌への原著論文の報文数や学位論文の提出条件を明文化していることは、研究論文のレベルを保証するものであり評価できる。

修了者の博士論文名、学術雑誌への掲載状況、進路状況

博士論文名 学術雑誌への掲載状況 修了者の進路状況
タイトル 雑誌名 暦年・掲載号・頁
1 イオンチャネルを標的とした膵臓痛治療と免疫抑制薬の適正使用に関する研究 Contribution of TRPA1 as a downstream signal of proteinase-activated receptor-2 to pancreatic pain. J. Neurosci. Res. 2013・123(3)・284-287 神戸学院大学薬学部循環薬理学研究室 リサーチャー
Cav3.2 and TRPA1 channels targeted by hydrogen sulfide in pancreatic nociceptive processing in mice with or without acute pancreatitis J. Pharmacol. Sci. 2015・93(2)・364-369
Circadian Pharmacokinetics and Limited Sampling Strategy of Everolimus in Heart Transplant Patients Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2017・55(1)・1-8
Tacrolimus triggers TRPV1-dependent relapse of pancreatitis-related pain in mice Pharmacology 2017・99(5-6)・281-285

社会人大学院生への対応状況

これまでに、病院薬剤師数名と、薬局薬剤師1名が社会人大学院生として入学しており、本大学院教員の指導の下、臨床医療に関する研究を進めている。社会人大学院生に配慮し、先進特別講義、先進特論などは原則として土曜日に実施するようにしている。

自己点検・評価

社会人大学院生を積極的に受け入れ、授業の実施日などにも配慮を行っていることは評価できる。

今後の充実・改善

  • 本大学院の「臨床薬学コース」と「がん専門薬剤師養成コース」では、臨床研修の面では十分な成果が得られているが、臨床研究に関しては質・量ともに今後さらに充実させ、国際的評価にも十分耐えうる高いレベルを目指していく必要がある。また、現在は病院との連携のみであるが、地域医療に関する研究教育体制を充実させるため、今後、薬局などとの連携も視野に入れていくことを検討する。一方、「医療生命薬学コース」では、実務家教員のアドバイスを取り入れた臨床に直結する研究を行うことになっているが、今後、どのような方策で臨床的な観点を取り入れていくかをさらに工夫していく必要がある。
  • 大学院生の在籍状況は、当初、進学者が少ないことが大きな懸念であったが、臨床薬学コースに、外部医療施設のレジデント制度を利用した連携講座を開設したことで、定員の充足状況は大きく改善されている。本学附属病院との連携講座「先端医療薬学」が新たに開設されることになり、今後、さらに新卒進学者が増加すると予想され、また、6年制薬学部の卒業生で社会人入学を希望する者が増える見込みであり、定員増を視野に入れた対応を検討していく必要がある。