人権問題研究所紀要 第20号 2006 (平成18).3.31
人権行政・人権教育発展のために -人権行政・人権教育の概念整理にむけて-
近畿大学人権問題研究所 教授 北口 末広
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はじめに
(1)同和行政に関する誤った理解
(2)特別措置は過渡的措置
(3) 「人権行政」 「人権教育」の概念を明確に
(4)誤った理解では人権行政・人権教育も後退していく
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人権教育発展のために
(1)差別撤廃教育を内包した人権教育を
(2)人権教育の四つの側面
(3)人権課題の解決と結びついた人権教育を
(4)自己実現に結びつく人権教育を
(5)現実の人権課題が人権教育の原点
(6)人権侵害の予防・発見・救済・解決のために
(7)多様な教育内容・カリキュラム・教材等の整備を
(8)人権教育四つの側面を有機的に捉える
(9)人権教育目的の再確認を
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人権行政発展のために
【1】人権行政概念を整理するために
(1)人権行政概念を整理するための視点
(2)広義・狭義の人権行政概念
(3)人権行政の多様な捉え方と多様な行政手法
【2】人権行政の役割と内容
(1)行政活動全般が人権に関わる行政
(2)日本国憲法と国際人権諸条約の具体化
(3)人権状況・人権課題から提起される人権行政
(4)実態把握・分析から政策提言・実行・検証まで
(5)公・民のネットワーク構築からコーディネートまで
近畿大学と人権問題(3)〜本格的な取り組みの展開〜
近畿大学人権問題研究所 教授 奥田 均
- 部落問題研究室の設置
- 同和教育推進委員会・同和教育研究会活動の活性化
- 続発する差別事件
- 開講5周年-提起された6つの課題
フィリピン人女性「エンターテイナー」の直面する問題を通して日本の人身売買を
検証する
(財)アジア・太平洋人権情報センター 研究員 藤本 伸樹
- 【1】人身売買との「出会い」
【2】人身売買の「監視対象国」にランク付けられた日本
【3】「エンターテイナー」の希望と憂鬱
【4】日本への「興行資格」をめぐる法務省令の改定
【5】フィリピンからの「エンターテイナー」の歴史
【6】フィリピン政府の海外雇用政策
1) 労働力輸出を国策とするフィリピン
2) 移住労働の女性化
【7】「エンターテイナー」を取り巻く業界と搾取のネットワーク
1) 複雑な雇用形態
(1)同伴出勤のノルマ化
(2)フライング・ブッキング(飛ばし)
(3)パスポートの取り上げ
(4)契約内容に関わること
2) 「報酬」の流れからみる搾取構造-あるタレント・マネージャーへの聞き取り
3 ) 「合法的」な人身売買のシステム
〜現代的奴隷制の一形態なのか
【8】日本政府の人身取引対策
【9】法務省令改定案へのリアクション
1) フィリピン政府の反応
2) フィリピンの業界と女性たちの反対
3) ある「エンターテイナー」の夢
4) 「芸能人証明書」の効力無効化の方針に対する意見募集
【10】被害者の保護・支援の課題
大学生における性役割意識に関する一考察
大阪女学院大学・短期大学講師 関根 聴
- 本研究の目的
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調査の概要
2.1. 調査の期間及び対象
2.2. 調査項目の選定 - 調査結果の分析
- 結果
欧州連合における差別撤廃政策の概要
(社)部落解放・人権研究所研究部 李 嘉永
はじめに
第一章 EU差別撤廃指令の概要
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一般条項
(1) 指令の目的
(2) 差別の概念
(3) 対象領域
(4) 最低限の要請(minimum requirement) -
救済と実施措置
(1) 権利の防御
(2) 挙証責任の軽減
(3) 報復の防止
(4) 広報と対話の促進 -
最終条項
(1) 遵守措置
(2) 制裁
(3) 履行確保措置
(4) 報告
第二章 差別と闘う行動計画
おわりに
被差別部落女性が「まちづくり」運動に果たしてきた役割に関する一考察
近畿大学人権問題研究所 講師 熊本 理抄
- はじめに
- 1970年代以降の「まちづくり」 「部落解放運動」 「女性解放運動」の特徴的な経緯
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被差別部落女性が「まちづくり」運動に果たしてきた役割
(1) 部落産業や農業の共同化・協業化
(2) 自らの社会的立場や権利の自覚・意識化から組織化による権利保障の取り組みへ
(3) 自らが直面している現実と社会構造や歴史との関係性に関する認識の深まり
(4) 生活の中に現れる具体的・個別的・複合的課題の解決
(5) 地域の実情と受益者本位を基盤にした基準づくりと具体化のための課題
(6) 地域共同体を基盤にした被差別部落女性のエンパワーメント・アプローチの可能性 - 横断的反差別・人権運動創出の喫緊性
- 「人権のまちづくり」 運動と 「女性解放運動」