近大理工通信

令和5年度 近大理工通信(第3号)

令和5年10月6日発行

トピックス

附属中学校理科体験実験を開催

 令和4年8月27日(金)に近畿大学東大阪キャンパスにて、附属中学校理科体験実験(夢サイエンス)が開催されました。本行事は、理工学部の各学科教員11名から構成される理工学部「中学校理科体験実験」実行委員会の主催でとり行われました。開催の趣旨は、附属中学校の生徒に、物理・化学・生物に関わる身近な科学実験を体験してもらい、科学の楽しさや不思議さ、奥深さなどを感じてもらうことにあります。コロナ感染症によるイベント開催制限が緩和された後の開催ということもあり、開催日当日は合計51名もの生徒が引率教員と共に来校し、複数会場に分かれて体験実験に参加しました。
 本年度の実験テーマは全部で10テーマで、その中から事前に興味のある2テーマを生徒に選んでおいてもらい、当日は1時間ずつローテーションで2つの実験を順番に体験してもらいました。応用化学科では、藤島准教授(テーマ1)と朝倉講師(テーマ2)が指導員を担当し、以下の2つの化学系テーマの実験を行いました。

テーマ1:シクロデキストリンの構造と性質
【内容】モデリングソフトと化合物データベースを活用して、消臭剤などに含まれているシクロデキストリンとこの分子が包接できそうな様々な物質の分子モデルをコンピュータ上で作成し、それらの3次元構造を動かして眺めたり、大きさを計測するといった、コンピューターシミュレーション(計算機実験)の初歩的な操作を通して、包接や徐放といった分子機能について理解を深められるようなテーマとしました。
【感想】生徒が実際にパソコンを操作する前に、資料を使って実施内容と操作手順についてひと通り説明したため、テーマ内容についてはほぼ理解してもらえたと思います。実施前は生徒がどの程度パソコンの操作に対応できるのか不安がありましたが、中学校の授業で基本的な操作は習っているらしく意外にすらすらと手を動かしてくれました。また、題材にした分子はいずれも中学校理科の範囲を超えるものばかりでしたが、まじめな生徒ばかりだったこともあり、興味をもって取り組んでもらえた様子でした。

テーマ2:紅茶とレモンとはちみつと色の変化
【内容】紅茶にレモン果汁を加えると色が薄くなり、はちみつなどを加えると色が濃くなる現象が知られています。「色」とは何か、紅茶にレモン果汁やはちみつを加えると色が変化する仕組みについて、成分中の化学物質(分子等)の構造変化の観点から考えられるようなテーマの実験を行いました。
【感想】紅茶の色の変化という簡単な題材について、実際に紅茶を淹れ、レモン果汁を加えることによる色の変化を体験してもらいました。色の変化はタンニン類の分子の変化によると考えられていますが、実は明確にわかっているわけではありません。身近な現象も化学現象がかかわっているということを実感してもらえたと思います。

 以上、簡単ではありますが、応用化学科担当分の中学校理科体験実験について報告させていただきました。本行事が中高生の理科への関心向上の一助となれば幸いに存じます。また、実施準備や当日の運営におきまして、実行委員長の理学科化学コース・若林知成教授,他学科の実行委員の先生方、および理工学部学生センター・藤本亜弓様に大変お世話になりました。この場を借りて、御礼申し上げます。

(応用化学科 藤島 武蔵 朝倉 博行)