近大理工通信
令和6年度 近大理工通信(第4号)
令和6年10月3日発行
受賞・入賞
中口譲 教授が公益財団法人海洋化学研究所 第38回海洋化学学術賞を受賞
理学科化学コース 中口 譲 教授が公益財団法人海洋化学研究所の第38回海洋化学学術賞を受賞し、2023年4月22日に京都大学楽友会館にて授賞式がありました。
受賞タイトル : 微量必須元素に関する生物地球化学的研究
https://www.oceanochemistry.org/index.html
この賞は海洋を研究する研究者を対象としており、長年、中口 譲 教授が取り組む微量元素の研究が高く評価されての受賞となります。
理学科化学コースでは近年、その重要性を増している環境化学、大気化学、海洋化学を分析化学の視点から学べる研究拠点として、その研究推進に注力しています。今後の中口 譲 教授の研究がさらに進展することが期待されます。
(理学科化学コース 杉本邦久)
河野七瀬 講師が「日本大気化学会2023年度奨励賞」を受賞
2023年11月に理学科化学コース 河野七瀬 講師が第19回日本大気化学会奨励賞を受賞しました。
受賞研究課題名は「ペルオキシラジカルの速度論的研究およびその大気化学への応用」です。
河野講師は、ペルオキシラジカルの検出、また、その大気質への影響を定量的に評価し,大気化学におけるラジカル反応の研究に精力的に取り組んできました。この度、その成果が高く評価されました。
(理学科化学コース 中口譲)
原田孝 教授と八瀬快人 助教がIEEE主催国際学会ROBIO2023でロボット分野の最優秀論文賞を受賞
2023年12月4日~9日にタイで開催された、IEEE(米国電気電子学会)主催の国際学会ROBIO2023(The 2023 IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics、ロボット工学と生体模倣に関する国際学会)において、理工学部・機械工学科 原田 孝 教授と同学科 八瀬 快人 助教の共著論文"Family of Six-DOF Novel Two-platform Parallel Robots and Development of Re-configurable Prototypes (新しい6自由度2プラットフォームパラレルロボットの提案と再構築可能なプロトタイプの開発)"が、ロボット分野の最優秀論文賞であるRobotica Best Paper Awardを受賞しました。世界25か国以上から投稿された多数の論文の中から377件が採択され、その採択された論文の中から最も優れた研究論文1つに与えられるロボット工学分野で名誉ある賞です。
本研究は科研費に採択された研究の一部であり、これまでにない新しいロボットのメカニズムは、既に日本国内へ特許出願済です。今後のさらなる発展と実用化に期待します。
(機械工学科 藤田隆)
原田孝 教授が日本機械学会のフェロー称号を授与
理工学部機械工学科 原田 孝教授が、2024年2月6日(火)に一般社団法人日本機械学会よりフェロー称号を授与されました。
日本機械学会フェローとは、機械及び機械システムとその関連分野と日本機械学会と社会の発展に顕著な貢献をなした会員に与えられる名誉ある称号です。フェロー認定者は高い見識と責任感を持って国際社会における機械技術者の代表として活躍されることが期待され、機械工学および機械学会のより一層の活性化をはかることが目的とされています。令和5年度(2023年度)は、61名が新たにフェローに認定されました。
(機械工学科 藤田隆)
麓隆行 教授が国際会議BEI2023でBest Paper Awardを受賞
2024年7月に国際会議Bridge Engineering Institute (BEI2023)にて、麓隆行教授がBest Paper Awardを受賞しました。
BEIは、橋梁およびその関連分野の研究・技術の情報交流の場として開催されている国際会議で、コンクリートや鋼材の材料から構造まで幅広い分野の研究者が集います。BEI-2023は2023年7月17~20日にかけてイタリア ローマ市内のRoma Eventi-Fontana di Fontana Treviにおいて、すべて対面式で開催されました。16のセッションに分かれ、合計66件の発表がありました。
受賞した論文のタイトルは、「Visualization of the effect of steel corrosion cracks on shear deformation inside mortar using X-ray CT」です。鉄筋腐食が生じたコンクリート構造物では、ひび割れが生じた状態での力の伝達状況を高い精度で推定することが求められます。しかし、せん断力の推定は進んでおらず、鉄筋腐食に生じるひび割れ状況とせん断力伝達機構の関係を実験的に整理する必要があります。この研究では、載荷可能なX線CTを用いて、試験体に埋め込んだ鉄筋を電食させた際に近傍に生じるひび割れを3次元的に可視化するとともに、そのひび割れを有する試験体でひび割れ箇所のせん断変形挙動を、X線CT画像を用いた3次元画像計測を用いて解明できることを示しました。今後、腐食で生じるひび割れの多様な内部ひび割れ状況の整理と、その状況下でのせん断力伝達について検討を続けていく予定です。
(社会環境工学科 河井克之)
河井克之 教授が国際会議TISDIC2023でBest Presentation Awardを受賞
社会環境工学科の河井克之教授(環境地盤工学研究室)が2023年8月26~28日にベトナムダナンで行われた国際会議Transportation Infrastructure and Sustainable Development (TISDIC2023)にて、Best Presentation Awardを受賞しました。受賞発表タイトルは「Effects of the cross-sectional shape of drain pipes on seepage of rainwater」で、数値シミュレーションを用いて、地盤構造物の排水処理に用いられる排水パイプ工周辺の地中水の流れを明らかにしたもので、排水パイプ断面形状について検討しています。
(社会環境工学科 高畠知行)
岡田昌彰 教授がイギリス産業考古学会特別賞を受賞
2023年9月、拙著「美しい英国の産業景観」(創元社)が、イギリス産業考古学会(AIA:The Association for Industrial Archaeology)で特別賞(honorable mention)を受賞しました。
本書は、産業遺産の先進国であるイギリスに現存する310点の産業景観を、自ら撮影した写真とともに収めたビジュアルアーカイブです。シャープなシルエットを海岸に映す世界遺産の橋梁、炭鉱や錫鉱山の立坑、意匠を凝らした前世紀の配水塔、田園に映える繊維工場、路傍に佇む共用水道群、英国の都市・農村・郊外・田園・山間・河岸・海岸にみごとに溶け込む、産業遺産や現役建造物の数々が収められています。自身が21年間かけてブリテン島各地にて重ねてきた調査研究が本書に結実していますが、その背後にある精華は英国人の透徹した自国の歴史に対する誇りとアイデンティティに対する矜持です。この思想は、日本の産業遺産に対する視点を深める上でも大いなる示唆を与え得るものと思います。
このような発想を大いに鼓舞して頂いたのは、本書の推薦文も執筆頂いたケンブリッジ大学のマリールイーズ・ソレンセン名誉教授です。彼女は自身が在外研究中に大いなる薫陶を得た恩師の1人であり、2014年に対面で開催された近畿大学国際セミナーにも基調講演者として登壇頂いています。
なお、本賞の授賞式は2023年9月2日にイギリス・バース大学で開催された同学会にて催されました。世界の産業遺産研究のレジェンドであるレスター大学マリリン・パーマー名誉教授より祝辞のお言葉とともに賞を授与頂きました。実は授与式の2日前にロンドンで開催された英国地理学会での学会発表があり、絶妙なタイミングでの授与式参加となりました。授与式での自分のスピーチはYouTubeでも視聴可能ですので、是非ご笑覧下さい。残念ながらフロアの声が音声に入っていませんが、大阪らしく笑いもかなり取れたことにも大いに満足しています。
イギリスの産業景観研究は現在も継続中であり、本書の掲載事例と同等あるいはそれを凌駕するような産業景観もすでに調査研究済です。その一部は現在、石灰石鉱業協会誌にて「イギリスの砿都における景観の特徴」というタイトルで連載中です。いつか本書の続編として皆様にお目にかけられればと思っています。
(社会環境工学科 河井克之)