近大理工通信
令和7年度 近大理工通信(第5号)
令和7年10月8日発行
トピックス
アメリカ・オーガスタナ大学の学生さんが訪問

国際交流の一環として、オーガスタナ大学(アメリカ・サウスダコタ州スーフォールズ市)の学生さん(化学および生物化学科)12名が近畿大学理工学部を訪問しました。理学科化学コース 教授 若林知成、同エネルギー物質学科 教授 須藤篤にて、近畿大学の歴史と理学科化学コースのカリキュラム、大阪の地理についてご紹介、ご説明し、本学共同利用センターや基礎化学実験室などを見学した後、午後は大阪城を見学して市内を散策しました。
第3回交通地盤工学に関する国内シンポジウムを近畿大学で開催


国際地盤工学会のTechnical Committee 202は交通地盤工学の知見を集約し情報発信する役割を担っていますが,その国内シンポジウムが2024年11月14日~15日にかけてBLOSSOM CAFÉ3階の多目的ホールで行われました.産官学から63名が参加し,34件の研究発表と基調講演がありました.14日には夜はTHE LONGEで意見交換会も執り行われ,近大マグロをつつきながらリラックスした雰囲気の中で.最新の研究動向などが話し合われました.
(社会環境工学科 高畠知行)
在外研究報告 「イギリス・University College London(UCL)での1年間」


在外研究制度を利用し、2023年9月から2024年8月までの予定で、イギリス・ロンドンにあるUniversity College London(UCL)に滞在しました。UCLのコンピューターサイエンス学部に所属しつつ、実際にはGlobal Disability Innovation Hubという組織で研究活動を行いました。ここはアシスティブ・テクノロジーや障害者支援、インクルーシブデザインを専門とする研究拠点で、研究者や大学院生など約40名が在籍し、障害当事者を交えた教育・研究を進めています。
UCLは1863年に伊藤博文らが留学し、また夏目漱石も講義を聴講した歴史を持ち、日本との関わりが深い大学です。私はロンドン東部のUCL Eastキャンパスにいて、ここは2012年ロンドンオリンピックのメイン会場跡地に新設されたキャンパスです。
研究テーマは大きく二つありました。一つは、都市計画における健康政策の位置づけです。イギリスでは自治体の都市計画に「健康」の観点を明記し、市民の平等な暮らしや活動を支える仕組みを構築しています。もう一つは、障害者のモビリティに関する調査です。ロンドンは多様性を受け入れる文化が根付いており、大学キャンパス内のトイレだけでも男女別、オールジェンダー用、バリアフリー用(車椅子利用者だけでなく、視覚障害、聴覚障害、発達・知的障害、子供連れなどに対応したものが数個)と多様な形態が整備されていました。ただし、街中の古い駅や建物は必ずしもバリアフリー化が進んでおらず、新旧の文化が共存しているのも特徴的です。
また、スペイン・ムルシアにある視覚障害者向け誘導システム「Navilens」の開発本社を訪問し、システムの開発経緯や現状を調査する機会も得ました。研究以外でも、ロンドンならではのPub文化を体験し、土木学会英国支部などの集まりに参加するなど、研究交流のみならず多様な人々との出会いを楽しむことができました。
多様性と伝統が交錯するロンドンで過ごしたこの1年は、研究のみならず教育や今後の国際的な連携にも大きな糧となると確信しています。このような貴重な機会を頂けたことに、理工学部の先生方および関係各位に心より感謝申し上げます。
(社会環境工学科 柳原崇男)