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短期大学部 商経科
川原亜希世 准教授
 
					夜明けの図書館
(著)埜納 タオ
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							この本と、どんな風に出会いましたか?  『夜明けの図書館』は、司書課程の先生たちの間で話題になっていた本です。図書館をテーマにした本としては、『図書館戦争』シリーズ以来、久々に話題になったもので、しかもコミックだったので、興味を持ちました。テーマがレファレンスサービスというのも面白そう。教材になるかも、と思って読むことにしました。 
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							この本の最大の魅力は?  レファレンスサービスを司書課程の授業で教えていて、もどかしいなと思うのは、学生さんが図書館で利用したことがないサービスのナンバーワンで、イメージが伝わりにくいところです。私自身も大学で図書館情報学を学ぶまで、そんなサービスがあるとは知らず、利用したことがありませんでした。図書館の人が、あなたの相談に応じて本を探してくれたらうれしくない?それが具体的に伝わるストーリーと利用者の笑顔が魅力です。 
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							特に心を揺さぶられたシーンは?  『夜明けの図書館』は全7巻で28話が収められています。感動のシーンがあちこちにあります。いろんな人たちが、図書館員が探した本から自分に必要な何かを見つけて変わっていくのです。私は図書館は人生の羅針盤であってほしいと思っています。本を通して、その時の自分に必要な知識や情報や感動を与えてくれるのが図書館です。そんなシーンがいっぱいありますよ。 
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							一番好きな「台詞」や「一節」は?  “ちょっと気になった本を手にするだけでも何かに気づいたり考え方が広がることもあるし…それってムダじゃなくて機会(チャンス)だよ” ヒロインの司書のひなこが、利用者の中学生の男の子に言うセリフです。本と人が出会ったときにおこる化学反応みたいなものがありますよね。そのきっかけをくれるのが図書館という場所で、図書館にはいろんなチャンスが転がっていると思うのです。 
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							この本を読む前と読んだ後で、
 あなた自身の価値観や人生は
 どのように変わりましたか?  本好きの子供が学校で図書委員をやって、「私、本も好きだけど、本がある場所も好き」と気づき、図書館について学ぶために大学・大学院に行き、その後図書館員として3年働いた後、司書課程の先生になり、もう27年経ってしまった。というのが、私の人生なので、真っすぐ、まっすぐ来ちゃっているんですよね。この本を読んで思うのは、「やっぱり図書館っていいよね」ということと、図書館にはまだまだいっぱい可能性があるってことです。 
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							どんな人におすすめですか?  やっぱり司書課程で学ぶ人に読んで欲しい。というのも、中心となるサービスはレファレンスサービスだけど、それ以外の図書館のサービスも色々取り上げている良い教材だから。レファレンスサービスは図書館の大切なサービスで、その基本は本と人を結ぶこと。一生懸命なヒロインのひなこも魅力的だけど、本と人を結ぶことから始まるその先が見えるのが良いのです。図書館には何ができるか、見てほしいです。 
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							この本への愛を語ってください。  この本には大野さんという、図書館の庶務経理担当の男性職員が出てきます。公務員として採用されて図書館に配属され、ちょっと不満そうだった彼が、レファレンスサービスとひなこを通して図書館と司書を見直していきます。最後には市役所の秘書課に異動になる彼のセリフが「通信教育で図書館司書資格を取り始めています。なのでいつか戻ってくるので、それまで暁月市立図書館をよろしくお願いします!」彼の成長も楽しんでくださいね。 
review03
夜明けの図書館
(著)埜納 タオ
2011年10月17日初版
双葉社
 
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