進路内定者座談会
今の進路に進もうと思ったきっかけとは?
- 宮原
- みなさんの進路先と、その仕事や研究をしたいと思った理由を教えてください。
- 中分
- 大和ハウス工業で営業として働きます。昔から個性的な戸建て住宅を紹介するTV番組が好きで、住宅建築専攻へ。ハウスメーカーを中心に就活し、販売だけでなく、“プランニングから関われる営業”という点に惹かれて大和ハウス工業に決めました。
- 小山
- 国立大学法人・京都大学の建築技術職で内定をもらいました。大学施設の修繕や保存、新たな設計などを行います。公共施設に関わる府や市への就職も検討しましたが、自分自身も成長させてもらった大学という場で、学生の学びや生活を支えたいと考えました。
- 友竹
- もともと地理の勉強や旅行が好きで、地図に残るようなまちなかの建物づくりに関わるのが夢でした。より大規模な建物づくりに関わりたいとスーパーゼネコンを志望し、なかでも市街地開発で大きなシェアを占める大成建設へ。施工管理職として働きます。
- 樅山
- 大学院に進学し、高校生のときから夢中だった近代建築の研究を深めます。これからは古い建物を生かす時代。近代建築の新しい活用やリノベーションについて研究・実践されている先生も多いここでなら、いまの時代に必要な専門知識を深く学べると思いました。
- 近藤
- ア・ファクトリーという空間デザインの会社にデザイナー職で入社します。海外ブランドショップの日本出店時の設計なども手がける会社で、3分の1は外国籍のスタッフ。高校で英語力を鍛えた私にとって、建築×英語に関われる仕事というのが決め手でした。
進路を定めるうえで役に立った学部での学び
- 宮原
- 就活や将来の道を定めるうえで役立った演習や研究について教えてください。
- 中分
- 戸建て住宅をまるまる設計する住宅実務設計演習での学びが就活で役立ちました。
- 宮原
- 選考で図面を引くような実技試験があったわけですね?
- 中分
- はい!実務ベースの演習で鍛えたプランニング能力を実技で発揮できたと思います。
- 小山
- 公務員の技術試験で頻出する静定・不静定構造は、1年次から積み重ねてきた知識が染みついていましたし、3年次で学んだ「建築行政」や「建築施工」の知識も鮮明に頭に残っていました。構造力学や法律系の講義で学習を繰り返した建築系の知識は、全て役立っています。
- 友竹
- 私も建築材料や建て方を学ぶ「建築構法」は、今の仕事に直結する学びがありました。
- 宮原
- 友竹さんは、どんな経緯でゼネコンや施工管理の仕事に興味を持ったのですか?
- 友竹
- もともと父が住宅の設計をしていて建築現場が身近だったのもありますが、大手のインターンシップに複数社申し込み、施工管理の仕事に触れたのが大きなきっかけです。
- 近藤
- 私もインターンシップは仕事理解を深めるうえで欠かせないと思います。ゼネコンは想像していたより力仕事だなと感じましたし、設計事務所では「外観より内部の空間デザインに興味があるかも」と気づき、空間ディスプレイの仕事に進むきっかけをもらえました。
広がる建築のキャリア! 近大独自の支援について
- 宮原
- 近大だからこそ、と感じたキャリアサポートはありますか?
- 小山
- キャリアセンターの就職支援講座が豊富です。小論文の添削や面接の対策もあり、たとえば集団討論で面接官はどこを見ているか、進行役としてみんなに話を振ることの重要性など、公務員試験の突破に向けたアドバイスが大いに役立ちました。
- 友竹
- 私もオンライン面接をチェックしてもらいましたが、“画面が暗い”“表情がわかりづらい”など、自分だけでは思い至らなかった指摘をもらえて、すぐ改善につなげられました。
- 樅山
- 中央図書館のレファレンスデスクをおすすめします。私は近代建築に関われる仕事を目標としていましたが、頭に思い浮かんだ職業は公務員だけでした。それを相談すると、近代建築の専門書の著者を辿ってどんな経歴や所属の人か調べてくれ、道標ができたんです。
- 宮原
- 近代建築に関われるいろんなキャリアがあると知り、選択肢が広がったわけですね。
- 近藤
- 私は、キャリアセンターの対面やオンラインで卒業生と気軽に面談設定できる仕組みが良かったです。面接はどんな感じか、ポートフォリオで見ているポイントは? などいろいろ聞けました。
- 中分
- 話を聞けるOB・OGの多さは近大の強み。私もサークルにハウスメーカーや不動産会社に就職した先輩がいて、たくさん就活のアドバイスをもらいました。説明会だけでは知り得ない情報を詳細に聞けて安心ですし、働く姿が想像できて志望度もあがります!
- 樅山
- あと、ACADEMIC THEATERの「24時間自習室」や建築学部棟33号館1階の「デザイン・コモンズ」は、設計課題や宅地建物取引士の資格勉強をするのにとても重宝しました!
- 宮原
- 近大は文系から建築を学べる数少ない大学ですが、理数系の勉強はどうでしたか?
- 近藤
- 学習レベルに応じてクラス分けされるので、物理や数Ⅲにまったく触れずにきた私も初歩から学び直せました。文系だからと選択肢を狭めず、粘り強くがんばってほしいです。
将来の展望と、建築の世界をめざす高校生へのメッセージ
- 宮原
- 最後に、めざしたい将来像や建築学部を志す高校生へのアドバイスをお願いします。
- 樅山
- 近代建築のために人生を尽くす気持ちでいます。それこそ法律から変えるような大きな動きにも関わり、従来の観点に縛られない、近代建築の幅広い活用法を模索したいです。
- 近藤
- 自分がデザインした店舗で、たくさんの人がショッピングを楽しむ姿を見るのが夢。またいずれは語学力を生かして世界を飛び回り、海外の店舗デザインに携わりたいです。
- 小山
- 漠然と“ものづくりが好き”で入学した私にとって、トライアスロン部と模型の課題を両立させるのは大変でした。ですがそれを上回る設計のおもしろさにも気づけました。ものづくりのなかで最も大きいスケール、長く形に残るやりがいを、ぜひ感じてください。
- 中分
- 目標は、「あなただから任せたい」と思ってもらえる営業になること。私は、TVの特集番組やドラマで、戸建ての魅力に触れたのがハウスメーカー志望の入口でした。SNSからでも何でも“憧れの仕事”を持つと、目標に向かうモチベーションも上がりますよ。
- 友竹
- 国立競技場のような日本を代表する建物の建設に関わること、またいずれは地元の岡山で、生活の変化をもたらす大規模案件に関わるのが夢です。建築の世界にも、設計や施工、営業…さらに他にもいろんな仕事があります。視野を狭めず、広い目で見てほしいです。
- 樅山
- 同感です。建物を“つくる”ための学びだけでなく、建築史を学びたい人、生活や文化を学びたい人など、建築に関係する多彩な将来の道を見つけていける学部だと思います!
- 宮原
- すばらしい視点です。いろんな経験を糧に羽ばたくみなさんの活躍を期待しています。
―ありがとうございました
※写真左より:小山莉生さん、友竹蒼さん、宮原克昇准教授(聞き手)、近藤羽菜さん、中分凌也さん、樅山千花さん