研究科長挨拶

ヒトを研究する醍醐味に溢れる場でありたい

医学研究は、自分自身、或いは身内や友人の体や健康、病気など日々の生活の中に研究動機があるという点で、非常に身近なものと言えます。特に、医師やコメディカルの場合、日常診療の中にヒントが隠れているので、わざわざ“研究”として身構えるまでもないのかもしれません。
医学研究は基本的にヒトを対象として行われるものですが、ヒトを実験台に乗せることは出来ないので、実験を行う際には様々な工夫や深い洞察が必要となります。例えば、ある基準に基づいてヒトをいくつかのグループに分けることが行われます。よくあるのは患者群と対照(コントロール)群です。2群を比較し、患者群に特異的な性質があることを見出せないかの解析が成されます。また、疾患の機序解析や創薬研究では、疾患の病態を抽出し、それがよく再現されるよう細胞培養系や実験動物を作製します。細胞や動物に様々な薬剤投与や遺伝子操作を行い、その結果から疾患の分子機序や新規治療法が導き出されます。
このように、ヒトを対象としているが故、医学研究の方法には大きなバリエーションはないように思われます。しかしながら、難しいのはヒトをグループ分けする基準の設定であり、疾患の病態を如何に抽出してモデル化するかであります。ここに医学研究の本質があると言っても過言ではない程に重要なポイントがあり、研究の成否を決めることともなります。言うまでもなく、群分けやモデル作製は実験のスタート時点で行われるべきものなので、当該学術領域についてよく勉強する必要があります。じっくり考えてから実験を始めましょう。
そして対象がヒトである以上、研究の遂行には深い思慮が求められます。その手助けを出来る環境が近畿大学大学院医学系研究科には整っています。
門はいつでも開いています。意欲と熱意あふれる研究者をお待ちしております。

宮澤 正顯 MASAAKI MIYAZAWA 近畿大学大学院医学研究科長 近畿大学医学部共同研究施設長 近畿大学医学部免疫学教室教授
伊藤 彰彦
ITO Akihiko
近畿大学大学院医学研究科長
近畿大学医学部病理学教室主任教授