山本颯(仮名)、現在24歳。近畿大学通信教育部・短期大学部商経科を卒業後、法学部法律学科へ編入し在学中。日本拳法部に所属。部の中心は通学課程の学生で、通信生としては唯一のメンバー。
入部当時は年齢的には“先輩”だったが、日本拳法の世界では完全なる後輩。それでも、現在は上回生として後輩達たちから日々刺激を受けながら、稽古に励んでいる。
入学してしばらく、大学生活は淡々と過ぎていた。
午前はアルバイト、午後は学習。必要なことだけをこなす毎日。
本来の自分は、どこか怠けがちで、最小限の努力しかしない――
そんな“怠惰な自分”を、どこかで変えたいと思っていた。
日が落ちるのもすっかり早くなった。
授業が終わってキャンパスを歩いていると、
道場から轟音が響いていた。
あまりに力強い衝撃音に、思わず足が止まる。
覗き込むと、面と胴をまとった学生たちが真正面からぶつかり合っていた。
技が決まるたびに空気が震え、汗の匂いと気迫がこちらまで伝わってくる。
「――こんな世界があるんだ。」
胸の奥が熱くなり、鼓動が少し早くなる。
やったことがなくてもいい。
運動経験がなくてもいい。
年齢が上でも下でも、関係ない。
“自分もここに立ってみたい”
その瞬間、ずっと心の奥に沈んでいた火種が弾けた。怠惰だった自分を壊すなら、ここしかない――そう思えた。
通信生でも参加できると知ったとき、その火は一気に燃え広がった。翌週、ためらいながらも道場の扉を叩いた。
最初の頃は何もできず、年下の“先輩”に教えられてばかり。
悔しさと新鮮さが交互に押し寄せる日々。
しかし、技が一つ身につくたび、体が少しずつ動くようになるたび、自分が確かに変わっていくのを感じた。
私の一日はシンプルだが、決して楽ではない。午前はアルバイト、午後は学習、そして夜は稽古。
自学自習が中心の通信教育は、誰にも支えられない“自分との闘い”だ。サボろうと思えばいくらでもサボれる。けれど、“やる”と決めたときに自分を動かせるかどうかが勝負になる。
試験前は気持ちを切り替えて一気に集中する。
スケジュールを管理するのも、やる気を維持するのも、すべて自分自身。
通信教育は静かだが厳しい世界だ。
その厳しさが、どこか日本拳法の稽古と似ていた。
道場に入れば、年齢は関係ない。入部当時は下級生だった為、年齢は上でも後輩だ。日本拳法の世界では、自分は完全な下っ端だ。初めはその状況に戸惑い、少し気恥ずかしさもあった。だが、年下の先輩たちの稽古への真剣さに触れると、自然と頭が下がった。
「立場じゃなくて、姿勢で尊敬できる。」
本気で向き合う姿は、年齢とは全く無関係の強さを持っていた。互いに汗を流し、叱咤し合ううちに、通信生・通学課程という垣根も薄れていった。
「同じ近大生として、一緒に強くなっている」
そう思えることが、私にとって大きな誇りになっている。
商経科で経済を学ぶうちに、「社会の仕組みの根っこ」をもっと知りたいという思いが強くなっていった。それが、法学部への編入を決めた理由だ。
「社会の中でフェアであるために、ルールを知らないままではいたくない。」
資格のためだけでも、キャリアのためだけでもない。もっと広い景色を見たい。知ることで、自分の軸を強くしたい――そんな思いが、私の背中を押した。
試合の翌日、全身が痛んでいても、私は教科書を開く。授業ノートを見返し、痛む体を抱えて静かに勉強を続ける。
「日本拳法も勉強も、どっちも自分を磨くための稽古なんです。」
派手な成果なんて、すぐには出ない。
でも、毎日の積み重ねが確実に自分を変えていく。
静かに、しずかに。
しかし確実に前へ。
その「静かな闘志」が、
今日も私を押し出している。
通信教育は、自分で立つ世界だ。
自由である反面、孤独との闘いでもある。
私は日本拳法部に入ったことで、はじめて
「同じ大学の仲間と一緒に成長している」
という感覚を味わうことができた。
もし、当時の私のように、
「何か変わりたい」
「大学生活が淡々としている」
「人とのつながりが薄い」
そんな思いを抱えている通信生がいるのなら――
どうか、勇気を出して部活の扉を叩いてほしい。
部活は、孤独を埋める場所ではなく、
“自分を変えられる場所”だ。
今回のハイクラススポット
December 2025
no.08
通信教育部の学生も入部できる
部活動
近畿大学の部活動は、体育会・文化系あわせて多彩な団体がそろい、初心者から全国レベルまで幅広く挑戦できます。仲間と切磋琢磨しながら、学部や学年を越えたつながりと成長を実感できるのが魅力です。新歓祭や大会、発表会などの舞台も豊富で、日々の練習の成果を発揮できます。さまざまな挑戦を通して大学生活を一層充実したものにしましょう。
※実際の施設運営とは異なる場合があります。現在の施設運営については以下「詳細はこちら」をご確認ください。
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