タヒボに含まれる抗がん成分の研究
アマゾンの薬木・タヒボの含まれる抗がん活性成分の化学合成に成功。
生命資源化学研究室 × タヒボジャパン株式会社
タヒボとは、赤道直下のブラジル・アマゾン川流域に自生するノウゼンカズラ科の樹木で、古くはインカ帝国の時代にも薬木として用いられていました。19世紀には抗がんに有効な成分が含まれると考えられるようになり、世界的に研究が進みます。現在では、タヒボには抗がん活性成分であるNQ801という化合物が含まれていることがわかっています。問題は樹木から抽出できる量が、きわめて少ないことです。タヒボにはいくつかの種類がありますが、薬効が確認できるのは、アマゾンでも特定の地域に自生する樹齢30年以上の樹木のみ。高さ30メートルの大木ですが、その外皮の内側7ミリ内にしか成分が存在せず、1本あたり3.5グラムしか取り出すことができません。しかもアマゾン川流域の環境下でしか育たず人工栽培もできないため、量産化には化学合成しか方法がありません。生命資源化学研究室では、このNQ801の実用的化学合成に成功。タヒボから微量しか得られない成分の大量供給を可能にする技術を確立しました。
生命資源化学研究室では、タヒボジャパン株式会社(大阪市)に基礎研究の成果を提供。同社では健康茶などを製品化、販売しています。現在、同研究室ではNQ801を活用した医薬品および機能性食品開発の可能性を追究。NQ801は既存の抗がん剤マイトマイシンC(抗がん性抗生物質)と比較しても効果が変わらないと同時に正常細胞への影響が少なく、副作用の軽減・解消も望めるなど、安全性の高さも特徴です。また、タヒボには抗腫瘍活性以外にも抗酸化作用、抗炎症作用や内臓脂肪蓄積抑制効果のほか、骨吸収阻害の物質も含み、骨粗しょう症にも有効なことが明らかになっています。
機能性食品としての開発が進めば、がんの予防のほか、様々な健康効果をもつサプリメントなどの製品化が期待されます。
最新の分析機器を使用したタヒボの成分研究