糖尿病について

糖尿病とは、インスリンがうまく働かず血液中に含まれる糖(ブドウ糖)が慢性的に多くなる病気です。膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンは、ブドウ糖を体の細胞内に取り込んでエネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンとして蓄えることで血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を下げる作用があります。しかし、何らかの原因で膵臓からのインスリンの分泌が減ったり出なくなると、血液中にブドウ糖があふれ血糖値が高くなります。
最近では若年層の糖尿病が問題になっています。これは食生活の欧米化(ファーストフードや甘い飲料水の摂り過ぎ)や、運動不足など生活習慣の悪化によるものと考えられています。

糖尿病の種類

I型糖尿病
膵臓のβ細胞を自分で壊してしまう抗体が出来ることによってインスリンが不足します。そのため治療にはインスリン注射が必要です。原因は、特定の遺伝因子に、何らかの誘因や環境因子が加わり発症するといわれています。多くは、思春期に発症しますがあらゆる年齢層でも認められます。
II型糖尿病
糖尿病患者の8割がこのタイプで、インスリンの分泌が減ったり細胞への効きが悪くなります。多くは中年以降に発症すると言われていましたが、近年では小児や若年者にも増えてきています。これは遺伝因子に加え、甘いお菓子の摂り過ぎや運動不足、ストレス、睡眠時間などの生活習慣が深く関係しているといわれています。

症状

糖尿病の初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、放っておくと口渇・多尿・疲れやすい・体重の減少・傷が治りにくいなどの症状が出ます。さらに血糖値が高い状態が続くと「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」の3大合併症をひきおこし、視力低下や失明・腎不全・足のつま先に潰瘍や壊疽などがおこります。また動脈硬化をきたしやすいため全身の血管や臓器が侵されます。

治療

治療の基本は「食事療法」と「運動療法」ですが、それだけで血糖のコントロールが上手くいかない場合や、血糖値を早急に下げる必要がある場合には「薬物療法」が行われます。薬物療法には、様々な種類の飲み薬や不足しているインスリンを注射で補うインスリン療法があります。
現在、採血で血糖値とHbA1c(過去1~2カ月間の血糖平均値)が同時に測れるため診断がつきやすく、治療も早くから行えるようになってきています。

糖尿病を予防するためにも生活習慣を見直しましょう!

  • 食事時間が不規則になるとインスリンの分泌が乱れるので、1日3食決まった時間に食べる。
  • 間食や夜食を控える。
  • 糖分の多い飲料水や、アルコールはカロリーが高いため控える。
  • 栄養バランスの偏りを防ぐために偏食をしない。
  • 食物繊維(野菜や豆、きのこ類など)は、糖の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑えてくれるので、食べるように心がける。
  • 満腹中枢を刺激して食べすぎを防止するため、20分ぐらいかけゆっくり食事をする。
  • スポーツ(有酸素運動が効果的)を楽しんだり、日常生活の中でも階段を使うなど出来るだけ体を動かすようにする。

*すでに糖尿病と診断されている人については医師の指示に従いましょう。