食中毒について

細菌の多くは湿気を好むため、食中毒は気温や湿度が高くなる梅雨の頃から増え始め、秋頃まで続きます。
特に、夏場に起こりやすい食中毒は、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ菌など、細菌によるものです。腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクターによる食中毒は近年増加傾向にあり、生肉や加熱の不十分な肉料理を食べることで起こる場合が多く、少ない菌数でも腸炎を起こす場合があります。
症状は、嘔気・嘔吐・下痢などの胃腸症状ですが、なかには頭痛・倦怠感などの風邪症状に似ているため発見が遅れたり、人によっては不顕性感染(感染しても発病しない)で経過する場合もあるので注意が必要です。
同じ食品を摂っても抵抗力がおちている人や高齢者、子供などは重症化しやすいので、食品の管理や調理方法には十分注意しましょう。

食中毒の種類について

食中毒には、感染型食中毒と毒素型食中毒があります。

感染型食中毒

感染型食中毒でよく耳にするのは、O157やO111とよばれる腸管出血性大腸菌によるものですが、これらは菌に汚染された食品(生肉、生野菜など)を食べたり、感染した人の便に含まれる大腸菌が手などを介して口から入ること(経口感染)によって起こります。
潜伏期は3~5日で激しい腹痛や嘔気、嘔吐、血便、発熱等があり、程度は軽症から重症まで様々です。特徴としては、他の菌に比べ感染力が強いため菌の数が少なくても発病し、毒性がとても強いベロ毒素を出すので、けいれんや意識障害などの脳症や尿毒症など重篤な症状を引き起こします。中には、下痢が始まってから数日から2週間(多くは5~7日後)以内に急性腎炎(浮腫、尿が少ない、意識障害)などをおこす溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症して死に至ることもあります。腸管出血性大腸菌は熱に弱いため、加熱をするときは中心部分が75℃で1分以上行うことが目安になります。他にも感染型食中毒には、生肉や生卵などが原因でおこるサルモネラや、魚介類が原因でおこる腸炎ビブリオなどがあります。

毒素型食中毒

毒素型食中毒には、黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌などがあり、これらは菌が産生した毒素で汚染された食品(おにぎりやお弁当、サンドイッチなど)を食べることによって感染します。潜伏期間が3時間~3日と短く、発熱がほとんどないのが特徴的です。

食中毒?と思ったら

  1. 自己判断で下痢止めを服用しないでください。
    細菌や毒素を腸内にとどめてしまい症状を悪化させる原因になります。
  2. 十分な水分補給を行いましょう。
    下痢や嘔吐で脱水になりやすいため、水やスポーツ飲料などで補給してください。
  3. 早めに医療機関を受診しましょう。
    病院へ行ったときには、「何を食べていつ頃からどのような症状が出たか」また周囲(家族や友人など)に同じ症状の人がいれば報告し、医師の指示に従ってください。

予防
食中毒予防の3原則「付けない・増やさない・やっつける」

  1. 病原体を付けない(清潔)
    • 食事前や調理前、トイレの後には、石けんで手をしっかりこすり洗い(手首や指先、指、爪の間も十分洗う)、清潔なタオルやペーパータオルで拭きましょう。
    • 調理の際に肉と他の食材が、接触しないようにしましょう。
    • 料理をする時には、生の肉や魚に使う箸を区別しましょう。
    • 生野菜はしっかり洗いましょう。
    • 使用した後のまな板や布巾、包丁などの調理器具は、熱湯をかけたり、漂白剤を使用し消毒しましょう。
  2. 病原体を増やさない(迅速・冷却)
    • 魚や肉を冷蔵、冷凍保存するときはラップに包み他の食材に触れないようにしましょう。
    • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃を目安にし、庫内の中身は容量の7割程度におさえましょう。
    • 食品は、消費期限内で早めに使い切りましょう。
    • 調理前、調理後の食品は室温に長時間放置しないようにしましょう。(10分ほどで菌が2倍に増えます)
  3. 病原体をやっつける(死滅させる・加熱)
    • 肉の生食(鶏肉のタタキなど)は避け、十分に加熱しましょう。(加熱は中心部が75℃以上、1分以上行う)
    • 電子レンジを使用する場合は時々かき混ぜて、むらなく中心まで火を通すようにしましょう。

厚生労働省 食中毒