ノロウイルスについて

ノロウイルス感染症とは?

冬季に流行する感染性胃腸炎の原因の一つにノロウイルスによるものがあります。感染後の潜伏期間(感染から発症まで)は平均1~2日間です。発症後の主な症状は嘔気、嘔吐及び下痢で、症状の持続期間は1~2日ほど、発熱はあってもあまり高くならないのが一般的です。発症しても健康な人は比較的軽症で経過することが多く、感染しても発症しなかったり(不顕性感染)、軽い風邪のような症状の場合もあります。また、下痢などの症状がなくなっても1週間程度、時には1か月に及んで便からウイルスの排泄が続くときがあるので、二次感染しないように注意することが必要です。重症になると、脱水症状を起こしたり、衰弱して吐物を誤って気管に詰まらせたりする場合もあるので注意が必要になってきます。
ノロウイルスは食中毒の原因菌としてもよく知られています。それは、ノロウイルスの感染力が非常に強く、わずかなウイルスが口の中に入るだけで容易に感染するからです。ほとんどが経口感染で下記のような経路で感染します。

感染経路

  1. 感染者の吐物や便から、人の手や器具(ドアノブなど)を介して感染する場合
  2. 感染者のお世話をして、吐物や便から感染する場合
  3. 汚染されているカキなどの二枚貝類を、生もしくは加熱不足で食べた場合
  4. 汚染された二枚貝類などの調理後に、同じまな板や包丁を使って食材を調理し、それを生で食べた場合

ノロウイルス感染症の治療法

現在ノロウイルスに対しての有効な薬剤はなく、症状に対しての治療が行われます。嘔吐や下痢が強く脱水症状がひどい場合は、病院で点滴を行うなどの治療が必要になってきます。安易に下痢止めを服用すると、ウイルスが体内にとどまって病気の回復を遅らせることがあるので、自己判断で服用しないようにしましょう。
先に述べたような症状が表れたら早めに医療機関を受診してください。

ノロウイルス感染症の予防法

  1. 最も大事なのは手洗いの励行です。
    外から帰ったとき、調理の前や食事の前、トイレを使用した後、嘔吐や下痢をしている人のお世話や処置をしたときには、必ず石鹸を用いてよく手洗いをしましょう。
    石鹸に消毒効果はありませんが、ウイルスを落としやすくします。
    他の人とのタオルやハンカチの共用はしないようにしましょう。
  2. ノロウイルスの食中毒では食品自体からウイルスを検出することは難しく、約7割では原因食品が特定できていません。その中の原因の一つに、汚染された二枚貝の生や加熱不足によることが原因で感染することが知られていますが、十分に加熱をすれば問題はないようです。しかし、加熱後も早めに食べるように心がけてください。
    食品を加熱する時は中心まで火を通す(中心温度が85℃を1分以上)ことで、感染性はなくなるとされています。
  3. 吐物の処理をする場合は、使い捨てのマスクと手袋を着用し、素手で触らないようにしましょう。拭き取りには、新聞紙や使い捨てのタオルなどを使用し、速やかにビニール袋に密閉して捨ててください。消毒は、塩素系消毒薬(ハイターなど)が有効です。50~100倍に薄めたものを使用し、吐物が付着した床や壁を浸すようにしながら拭き取ってください。

厚生労働省ホームページ(ノロウイルスに関するQ&A)