性感染症について

性感染症(STD)ってどんな病気?

皆さん性感染症(STD)と聞いて、どのような印象を受けますか?
風俗街で罹るもので、全く自分とは関係ない世界の人が感染すると思っているのではないでしょうか?
決してそうではありません。
普通の性生活を送っている人に拡がっているのが事実です。
性感染症(STD)とは、性行為により感染する感染症で、梅毒、淋病、性器ヘルペス、HIV感染(エイズ)、性器クラミジア感染症などがあります。
その中でも、症状がほとんどないために若い人たちに感染が拡大してきている、性器クラミジア感染症について説明します。
現在大阪では、東京に次いで若者の間にHIV感染症が急増しており(全国第2位)、同時にそのリスクを高めている性器クラミジア感染症も共に増え続けています。

クラミジア感染症とは

正式にはクラミジア・トラコマチス感染症といいます。
感染した場合の主な症状ですが、男性は排尿痛や尿道からの膿の排出、女性の場合は帯下(おりもの)の増量や性交痛などです。しかし、男女共に症状が非常に軽いので見過ごされやすく、特に女性は無症状で経過し感染に気づかないことも多いのです。こういった背景が感染を拡大させることにつながり、現在わが国では一番多い性感染症(STD)となっています。
そして、この病気の怖いところは、治療しないで放置すると男女共に不妊症になる確率が非常に高いということです。
男性では尿道炎をおこして、そのバイ菌が精管を経て精巣上体炎を引き起こします。こうなると陰嚢の激痛や腫れ、高熱などの症状が出現します。その高熱が原因となって無精子症という不妊症になる場合があります。
女性の場合は、感染が子宮頸管内に広がり、卵管から骨盤内へと広がります。そして骨盤内感染症をおこすことによって、卵管がつまり不妊症になってしまいます。たとえ妊娠したとしても、子宮外妊娠・流産・早産などの原因になる場合があります。また、出産時の母子感染によって、新生児が結膜炎や肺炎になり、重篤な場合は亡くなることもあります。

感染を予防するには・・・

性交時には必ず最初からコンドームを使用することです。
避妊だけの目的で射精時のみ使用するのでは、感染を防ぐことはできません。
下記の図をみると、コンドームの使用の有無が、性感染症の予防に大きく関与していることがわかります。

クラミジア感染症の治療について

検査をして、クラミジア感染症に罹っていた場合には、抗菌薬が病院で処方されます。
決められた期間(基本的には、1~2週間)は服用して、治療が終了し、完治したことを確認してもらいましょう。
又、重要なことはパートナーとともに治療をうけることです。
性生活はお互い、完治してからにしましょう。

今では、簡単に経口避妊薬(ピル)が手に入るようになってきています。
その影響のためか、手軽で感染予防もできるコンドームの使用頻度が少なくなり、性感染症は拡大する傾向にあります。
私たちは、後世に続く大切な命にバトンを渡す役割も担っているのです。そのためにも、性感染症は避ける必要があります。
自分、そして大切なパートナーの健康を守るため、恥ずかしがらず検査を受け、又予防することをお勧めします。
男性は泌尿器科、女性は産婦人科・婦人科で、検査や治療が受けられます。