熱傷について
熱傷とは
熱や化学薬品、放射線などが原因で起こる皮膚の損傷です。
通称は、火傷(やけど)のことです。
一般的に熱湯や高温物体などに触れて起こることが大半ですが、低温熱傷のように低い温度が長時間同じ部位に触れることによって起こる場合もあります。
今回は、メディカルサポートセンターへの来室で最も多い温熱熱傷と化学薬品が目や皮膚についた場合を中心に説明します。
熱傷や化学薬品が身体に付着した場合は、受傷直後の処置が最も重要です。
化学薬品の目・皮膚への付着には注意!!
主に酸やアルカリなどの化学薬品が、皮膚や粘膜に付いた場合、身体の内部に浸透していくので、組織の破壊が進みます。一般的に酸よりアルカリの方が、身体の深いところまで浸透していきます。
熱傷の程度について
熱傷は、「原因となっているものの温度」と、それが「身体に接している時間」、「受傷部位」によってその後の経過が左右されます。
また、受傷の広さと深さは、予後や受診の必要性を決めるうえで重要です。
広さ
受傷の広さを簡便に知る方法として、『9の法則』と呼ばれる基準があります。
これによって、受傷部位が体表面積の何%にあたるかを簡単に計算できます。
*一般的に受傷範囲が約1%(目安として、掌の大きさ)以上の場合は、医療機関を受診しましょう。
深さ
Ⅰ度(軽度)
皮膚が赤くなって痛む状態、数日で痕を残さず治る。
Ⅱ度(中等度)
水疱ができたり痛みが強い状態、治るまでに10日から数週間かかる。
水疱が破れると感染しやすくなり、また痕が残ることもある。
Ⅲ度(重度)
熱の影響が皮膚の深いところまで達していて、痛みを感じないことが多い。
皮膚は白くなったり、ひどい時は黒く焦げている。
*受傷範囲が広く深い場合は、皮膚症状の他に、血圧が低下したりショック状態になるなどの全身症状が現れます。
応急手当とその効果、日常生活での注意点について
- 冷却
⇒痛みを軽減し、熱傷の進行を止め、痕が残りにくい。- すぐに流水で15分以上、痛みがなくなるまで十分に冷やしましょう。
- 水が近くに無い場合は、アイスノンや保冷剤などを利用しましょう。
- 洋服の上から受傷した場合は、無理に服を脱がそうとすると、皮膚がはがれたり痛みがきつくなる場合があるため、そのまま服の上から冷やしましょう。
- 感染予防
⇒バリア機能のある皮膚が損傷を受けるので、感染が起こりやすい状態になる。- 受傷部はガーゼなどで覆って清潔に保ちましょう。
- 水疱ができている場合は、無理につぶさないようにしましょう。
- 自己判断で、薬などを塗ることは止めましょう。
- 受傷部位は弱っているため、刺激を与えないようにしましょう。
- 洗浄、その他
- 目や皮膚に化学薬品がついた場合は、十分な流水で20分以上洗い流した後、医療機関を受診しましょう。特に、アルカリ水溶液が目に入ると、失明する場合もあるので注意が必要です。絶対にこすらないでください。
- 洋服に化学薬品がかかった場合は、皮膚への付着を防ぐため、すばやく服を脱ぎましょう。
- 実験などで化学薬品を使う場合は、直接化学薬品が身体に触れないように、必ずゴーグルや手袋・マスクを付け、白衣を着用して保護しましょう。