学部長挨拶

近畿大学薬学部は、1954年(昭和29年)に本学4番目の学部として設置され、約70年の歴史を有します。常にその時代に求められる薬剤師を輩出するための最適な教育体制を構築してきており、近年では2006年(平成18年)からの薬剤師養成課程の6年制という大きな変革に伴い、主にお薬を使う薬剤師を養成するための医療薬学科(6年制)と、主にお薬を創る研究者を育成するための創薬科学科(4年制)を併設しています。これまでにおよそ1万人の人材を輩出し、病院・薬局などの医療界をはじめ、製薬業界、公務員、アカデミアなど多岐にわたる業界で卒業生が活躍しています。

薬学部では、近畿大学建学の精神、すなわち「実学教育」と「人格の陶冶」に則り、『21世紀の生命科学、基礎薬学、創薬科学、医療薬学、衛生薬学などの基盤に立脚し、医療に貢献できる薬剤師を養成するとともに、これらの薬学分野での研究に貢献し、活躍できる人材の育成を行うことにより、人類の福祉と健康に奉仕すること』を理念としています。この理念のもと、両学科の教育目標を定め、医学部を擁する総合大学としてのメリットを活かした種々の教育プログラムを実施しています。

医療薬学科(6年制)では、進歩が著しい医療において薬剤師に求められる高度な知識や技能、高い倫理観、コミュニケーション能力、問題解決能力、研究マインドなどを養成するために、薬学部教員による講義・実習に加え、医学部との連携による病棟体験、医学部学生との合同学習会、医学部教員による講義などの特色のある教育カリキュラムを構築しています。そして、薬剤師国家試験では、きめ細やかな学生指導により高い合格率を達成しています。

創薬科学科(4年制)では、創薬科学や生命科学を基盤とする多様な分野で求められる高度な専門知識と高い研究能力を有し、グローバルに活躍できる人材を育成するために、通常の薬学関連科目に加え、1年次からの研究室体験、産業界で活躍している外部講師による産学連携講義・演習、海外提携大学への短期留学などの実践的な科目群を用意し、また3年次前期からの2年間にわたる卒業研究を実施するカリキュラムを構築しています。さらに、食品や化粧品に関する講義、臨床検査技師国家試験受験資格を得るための科目群も用意しています。

新型コロナウィルスによる感染症のパンデミックにおいては、医療従事者の献身的な活躍が伝えられ、また、mRNAワクチンや治療薬がこれまでにない速さで開発されていることはご存じのことでしょう。コロナ禍に限らず超高齢化社会においては、医療現場での薬剤師や創薬研究者への期待は極めて高いものとなっています。このような期待に応えられるように、薬学部では医療・薬学分野で活躍し、貢献できる人材を継続的に輩出していきます。

学部長

仲西 功
ISAO NAKANISHI
薬学部 学部長