教育理念

農学研究科は、人類の健全な生存のための衣食住と地球環境の確保および質的向上をめざして、農林水産資源の生産、開発、保全、有効利用および環境の修復と保全など「人類と自然の関係」を研究対象とする総合科学分野です。この目的のために、地球環境(空気、水、土)、生物(人類、動植物、微生物)、食糧、医療に関する深い学識と高度な科学技術と創造性を身に付けた、目的志向型研究者の養成を教育理念としています。

概要

農業生産科学専攻

「生物現象の探究(探る)」「農産物の生産(作る)」「アグリビジネスへの展開(儲ける)」「先端農業への挑戦(尖る)」の4つの視点をもとに教育・研究を展開し、国際共同研究、産学官連携にも取り組んでいます。

主な研究テーマは、静電場を利用した物理的病害虫防除システムの開発、バンカー植物を利用した持続的害虫防除システムの開発、環境保全型稲作のアフリカ半乾燥地への導入研究、マンゴーの花成機構の解明、新たな変異創成技術の開発などです。

水産学専攻

大規模な養殖研究施設とスタッフを有する近畿大学水産研究所との連携のもと、「イケスから食卓まで」を理解し、その中に潜む多くの問題点を抽出し、それを解決できる実践的研究者・技術者の養成をめざしています。

養殖技術の開発を行う水産増殖学分野、生理学や生態学、育種学を研究する水産生物学分野、水産動物の資源動態や行動を研究する漁業生産システム分野、環境保全や物質循環について研究する水族環境学分野、生産された水産物の利用加工方法を研究する水産利用学分野、そして水産物の流通について研究する水産経済学分野など、合計6つの専門分野に分かれて研究が行われています。

応用生命化学専攻

化学・有機化学・生物化学・生物学・分子生物学などの基礎科学を基に、生命工学の最先端の知識と技術を駆使し、個体・細胞・分子レベルで生物機能や生命現象を解明しています。

昆虫と植物間の相互作用にかかわるシグナル分子とその受容体の解明、食品や天然物由来分子による疾病の予防や治療、抗がん剤の設計と合成、現存する最大のバイオマスであるセルロースを利用するシロアリやきのこが生存戦略として持っている機能の利用など、自然界のさまざまな事象から、人類と環境の健全な繁栄を支える新たな技術開発をめざしています。

環境管理学専攻

5つの研究室から構成され、幅広い分野の研究を行う環境管理学専攻。試験管の中だけの学問では、宇宙船「地球号」の乗組員の将来を幸福なものにはできません。自然界から人間社会、ローカルからグローバルまで、多様な視点が必要となります。

本専攻では、生態系の評価・保全・修復にはじまり、人間社会におけるそれらの利用や政策まで、広範囲にわたる研究を網羅しています。研究の実践フィールドとして、奈良キャンパスの置かれている自然条件を最大限に活用した実験・実習及び社会調査演習などを充実させています。

バイオサイエンス専攻

生命科学に関する最先端の知識や技術を学び、医療、創薬、食糧、エネルギーなどの諸問題に柔軟に対応し、国際社会で活躍できる胚培養士などのバイオ技術者や研究者を育成します。

主な研究は、ES・iPS細胞を利用した再生医療に関する研究/遺伝子組換えユーグレナによるバイオ燃料生産/病気に強く、収量の多い次世代作物の作出/細菌ゲノムを利用した新規抗生物質の開発/天然物を利用した創薬研究/植物による資源回収・環境浄化/タンパク質工学による有用酵素の開発

進路イメージ

博士前期課程、博士後期課程を通して卒業後の進路は多岐にわたり、一般企業、公務員、独立行政法人、大学・高校など、各分野の第一線で研究者、技術者、教育者として活躍しています。