学科長挨拶

食にはじまる健康と幸せを目標に、次世代の「食の安全と機能」を科学・技術で探求する。

食品安全工学科は食品の安全の確保に対する社会的要請を背景として2010年に創設された比較的新しい学科です。しかし、食を取り巻く社会環境は刻々と変化しています。本学科ではその変化にも耐えられるロバストな「食の安全」の発展と普及、そしてその変化を先取りするような「食の機能」の理解と応用を重要な目標として教育と研究を進めています。本研究科が関わる具体的な研究領域は多彩で、研究対象も人・動物から植物、微生物、化学物質まで様々です。例えば、私の研究室では発酵有用菌や病原性微生物のゲノム(1つの生物が持つ全遺伝子のこと)を理解することで、その微生物の特徴を理解して微生物を新たに作り変えるような研究を進めています。他には腸内細菌のバランスを改善するプロバイオティクスの研究や食糧の流通・管理の研究も進められています。

「食の安全」は食品材料の生産から加工、保存、流通、そして口に入って吸収されるまでの全てのステージで確保されるべき食の原則であり、学科のカリキュラム履修により食品衛生管理者やHACCP管理者の資格を取得することができます。「食の機能」については、例えば日本の伝統的な食品にはエコにも健康にも優れたものがたくさんありますが、本学科ではその優れた食品がもつ優位性の科学的理解を卒業研究で進めることができます。これまでに700名以上の卒業生を送り出し、その多くは食品産業界で活躍しています。医薬品や化粧品業界、高等学校・中学校の理科教員、食を守る公務員も輩出しています。もちろん、大学の学修や研究では飽き足らず、大学院に進学する人も多く、アカデミックの分野で活躍する人も増えてきています。「食」に関わるさまざまな課題を自ら発見し解決する能力を身につけるために、私たちとともに学んでみませんか?

学科長

東 慶直
YOSHINAO AZUMA
食品安全工学科長/食品安全工学科 教授