教員紹介
- 福田 裕大
- 准教授
所属 |
国際学部 国際学科 グローバル専攻 |
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学位 | 博士(人間・環境学) |
専門 | フランス文学・メディア史 |
ジャンル | 情報・メディア/メディアと社会 |
コメント | フランスを中心に録音技術の文化史を調査しています。19世紀の後半に生まれたこの技術が、音楽のみに限定されない多種多様な音の文化と結びつく様を追うことに関心があります。 |
リサーチマップ | https://researchmap.jp/yudaifukuda |
自己紹介
小説、音楽、アニメ、映画――昔からこの手のポピュラーカルチャーが大好きで、とくにこだわっていたレコードを買うために学生時代はたくさん働きました。とはいえ、ありきたりの大学生で終わるのは嫌だったので、本もずいぶん読んだつもりです。フランス文学を専攻していたので当時の「主食」は小説でしたが、大学院に進むことを意識してからは、哲学、芸術学、メディア論、科学史など、他ジャンルの本へも手を伸ばしてきました。
研究者としての本当の専門はかなりマイナーです。十九世紀後半のパリに生きたシャルル・クロという人物が研究対象で、一応は「詩人」といえるのですが、色彩写真や録音技術のパイオニアとしても知られる面白い人です。この少し変わった人物の仕事を足がかりにして、当時のフランスに生じつつあった文学や視聴覚文化の変容を捉え直していくことが当面の仕事だと思っています。
一方で、大学という場で教える側にも立つ以上、こうした研究を単に「昔」の話で片づけてしまうのではなく、そこで培った知識や考え方を「現代」につなげることも大切になると感じてきました。そこから思いついたのが、音楽や映画、アニメやマンガといった現代の様々な視聴覚文化を取りあげて、自分自身の「日常」を思考の対象にするという授業スタイルです。国際学部の授業では、こうしたところからさらに一歩踏み込んで、日常的な文化表現のなかから何かしら「他者」のほうへと開かれた問いを探し出したいと思っています。
学生へのメッセージ
四年間のうちに、他者の「すごさ」を察知するためのアンテナを手に入れてください。誰かが成し遂げた何かに触れるという経験は、みなさんに大きな喜びをもたらすはずです。ただし、その何かの「すごさ」を正しく把握するためには、みなさん自身が何かに打ち込み、そこで培った経験をほかの領域へとおきかえて一般化するよう、日ごろから真摯に努めている必要があります。四年間の学びの先で、みなさんが他者の「すごさ」を自分自身で感じとろうとしているか、それともただ単に周囲の人間の評価に倣っているだけか。「すごさ」の種類・質は多様ですが、この差があることは決定的だと僕は思います。
主要科目
メディア文化論入門
近代ヨーロッパ文化論
現代ヨーロッパ文化論
ゼミ紹介
日常的に私たちが消費しているポピュラーカルチャーを出発点にして、「他者」に対する想像力・理解力を獲得することがゼミの目標です。音楽をはじめとして、ひとつの作品を介したコミュニケーションのうえに、いかなるかたちで「他者」――例えば異国の文化や過去の事象――との接触・摩擦・交渉の過程が刻み込まれているか。こうした類の調査を実現するために、基礎的な知識・関心を育むことはもとより、資料調査やプレゼンテーションのための技術を身につけていきます。ゼミは座学だけでなく、なにかしらのプロジェクトやイベントを皆さん自身に企画してもらうことで運営していくつもりです。留学生活で培ったタフさを活かし、ゼミに集う「他者」たちと目一杯ぶつかってみてください。
学歴/経歴
学歴
- 2005年4月 - 2009年3月
京都大学 大学院人間・環境学研究科博士後期課程
研究活動情報
研究分野
- 人文・社会, ヨーロッパ文学
研究キーワード
フランス文学, シャルル・クロ, メディア論, 音響メディア史
論文
-
シンポジウム報告 : 音響メディア史とサウンド・アート : 歴史・創造・アーカイブの現在
福田裕大
Journal of international studies (6) 2021年11月 -
シャルル・クロという問題系:録音技術から捉える
福田裕大
Journal of international studies (4) 45-76 2019年11月 -
シャルル・クロの知覚論について : 詩的業績と科学的業績をつなぐために
福田 裕大
Études de langue et littérature françaises 104 (104) 153-169 2014年
書籍等出版物
- 戦後フランスの前衛たち : 言葉とイメージの実験史 , 福田裕大 , 「音声詩・行為詩」がめざしたもの:フランス、一九四五年以降を中心に , 「音声詩・行為詩」がめざしたもの:フランス、一九四五年以降を中心に , 水声社 , 2023年11月
- 音と耳から考える : 歴史・身体・テクノロジー , 福田 裕大 , スコット・ド・マルタンヴィルの業績を再検討する , スコット・ド・マルタンヴィルの業績を再検討する , アルテスパブリッシング , 2021年10月
- 声と文学: 拡張する身体の誘惑 , 塚本昌則; 鈴木雅雄; 塚本 昌則; 鈴木 雅雄 , 「フランスにみる録音技術の黎明期:来るべき「録音技術と文学」のために」(研究論文)、「音響技術と文学」(年表) , 「フランスにみる録音技術の黎明期:来るべき「録音技術と文学」のために」(研究論文)、「音響技術と文学」(年表) , 平凡社 , 2017年3月
講演・口頭発表等
- シャルル・クロ研究の可能性 , 福田裕大 , ポスト=ヒューマン時代の起点としてのフランス象徴主義 , 2024年5月12日
- 催眠とアンドロイド:ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』をめぐるふたつの会話 , 福田裕大; 中筋朋; 上尾真道; 井上卓也; 宇佐美達朗 , 2023年12月16日
- 录音技术在法国的黎明期——从媒体考古学的视角出发 , 福田裕大 , 2022年9月1日
MISC
- 鼎談「現実2.0」の論理と現代テクノロジー : 『未来のイヴ』再読—特集 21世紀に『未来のイヴ』を読む , 福田 裕大; 上尾 真道; 中筋 朋 , ふらんす , 97 , 9 , 4 , 13 , 2022年9月
- 対訳で楽しむ 未来のイヴ(3) , 福田 裕大; 中筋 朋 , ふらんす , 97 , 6 , 34 , 39 , 2022年6月
- 対訳で楽しむ 未来のイヴ(2) , 福田 裕大; 上尾 真道 , ふらんす , 97 , 5 , 34 , 39 , 2022年5月
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 「現代の起点」としてのフランス象徴主義の総合的研究 , 京都大学
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 十九世紀フランス哲学における身体観の再検討:『未来のイヴ』の新たな読解にむけて , 近畿大学
- 文部科学省, 科学研究費(若手研究B), フランスにおける黎明期の録音技術:その誕生と受容の文化的起源を求めて