教育実習感想文
中学校・社会科 法学部 Y.S さん
3週間の教育実習が終了しました。今までの人生で、こんなに早く過ぎ去って、凝縮され、充実した3週間は経験したことがありませんでした。
まず、実習が始まる前に教育実習オリエンテーションがありました。私は3年生のクラス担当で、授業は3年生と1年生を担当することになりました。指導担当教員との打ち合わせで2つの言葉が心に残りました。1つは『教師としての自覚』について、最近、社会問題にもなっているモンスターペアレントや不登校の生徒の増加について現実問題として理解することと、実習生でも生徒は先生として接してくることを自覚して、言葉や行動には注意と責任を持って取り組むことでした。もう1つは『実習生だからこそできるチャレンジ』について、実習では学ぶだけではなく、先生たちにないもの(若い発想など)を見せて逆に学ばせてほしい、そのためには意欲的にチャレンジしてほしいという言葉でした。この2つの事を意識して3週間臨もうと思いました。
初日、担当クラスで自己紹介をした時、久しぶりに入った教室や机がとても小さく感じました。1時間目に校長先生から実習の心構えと学校方針の説明を受けたのち、早速、授業参観をしました。1年生と3年生では全く学年の色が違い、1年生は明るく活発で、授業参加も積極的でした。ただ、元気なあまり授業には関係のない発言が見受けられ、活気を保ちながら授業をコントロールするのが大変だろうなと感じました。逆に3年生はとても大人しく、授業中の発言もほとんどありませんでした。生徒をどう活動させるかが課題になると感じました。
いろいろな先生方の授業参観をさせていただいく中で、学ぶことが多くありました。まず、授業で何を理解させ、何を考えさせるのかが明確で、そのため余談やテレビ、スポーツの話に授業が脱線していても、授業内容と関連づけて生徒が理解しやすいように、説明していました。生徒は私が想像していた以上の知識が乏しく、知っているだろうと当たり前に考えていることで授業がわからなくなるため、生徒の立場・知識に合わせて授業展開するためには、生徒にとって身近であるアニメなどの余談を上手く利用する必要性に気付かされました。
またそれが、生徒の授業への関心・興味をひき、集中が持続して授業を聞くことにもつながります。次に、同じ授業の同じ発問でも、クラスの雰囲気や生徒の反応によってアプローチの仕方が異なっていました。クラスや授業の時間帯など様々な環境の違いによって生徒の反応も変化し、その変化に臨機応変に対応して、生徒の考えて知識を引き出しそうと工夫していて、予想のできない生徒の回答に返答する豊富なバリエーションを備えていなければならないと学びました。
その他にも、いろいろと授業の技法を学んで、5日目に初授業をしました。教材研究と自分の経験談を交えながら、前半部分は生徒の反応もよく、順調に授業展開していきました。しかし、その単元の核となる考えさせる部分に入った途端、生徒の反応が一瞬にしてなくなりました。発問の仕方が教科書に書いてあるような硬い表現で、生徒にとって分かりにくいものでした。私は緊張のあまり、発問の仕方が良くなかったことに気付かず、急になくなった生徒の反応に焦ってしまい、頭の中が真っ白になり、授業の方向性を完全に見失いました。そこからの時間がかなり長く辛く感じ、何度も授業の途中で「終わります。」といって授業を終えよう思ったほどでした。教材研究に時間を割き、知識に関しては準備万端でしたが、その知識を伝える私自身の準備、心の準備が全くできていませんでした。授業参観で学んだ数多くのことも、落ち着かなければ発揮できないことを痛感しました。
授業実習を重ねていく上で、担当教員との反省会は大変勉強になりました。ただそれ以上に授業が上手くできるようになっていったきっかけは、教育実習生同士の交流の深さだったと思います。研究授業以外の通常の授業実習でもお互いに授業を頻繁に参観し、控え室で多少厳しいことでも批評し合いました。同じ実習生という立場なので、先生との反省会でも出てこないような小さな指摘をしてもらい、自己分析にかなり役立ちました。また、仲も良く、授業実習が失敗して落ち込んでいるときや、指導案に煮詰まったとき、授業の展開の仕方などアドバイスや励まし合って、時には冗談を言い合って1つのチームとなって頑張れました。良きライバルであり、良き友人に出会い実習を最後まで乗り切れたのも、他の実習生のおかげだといっても過言ではないと思います。
生徒との交流について、私自身教育実習で最も楽しみにしていた生徒との交流だったので時間がある限り教室に居ようと心掛けていました。また授業では、生徒の個性を把握しておいた方が授業展開しやすいので積極的に話しかけて生徒を知るだけでなく、自分自身も知ってもらおうと思いました。初日は生徒も私の様子を伺い、こちらから話しかけてもぎこちなく終わりました。しかし、2日目以降生徒から積極的に話しかけてくれました。担当クラスの生徒に限らず、多くの生徒と交流しました。特に担当クラスの生徒は、1週間が終わる頃には、顔と名前が一致するようなりました。また、中学生ということもあって、特に女子生徒から性や恋愛について問いただすように質問され、対応に困りました。3週間を通して生徒には救われることが多くありました。実習の疲れが溜まり始めた時期には、生徒の明るい表情、元気あふれるエネルギーに私も影響されて疲れを忘れさせてもらいました。また、人間関係や部活動、進路について悩みなど私自身の中学時代を思い返させてくれることが多く、人の成長を実感させてもらいました。最後には「先生、来週からも来てな。」とか「授業、面白くて楽しかったで。」など言ってもらい、涙を流してくれる生徒が担当クラス以外の生徒にもいました。3週間だけでしたが、自分にとっての最初の生徒を忘れることなく、これからもっと多くの生徒を見ていきたいと思いました。
教育実習の3週間を終えて、実習で気付いたことですが、現場の先生の忙しさには驚きました。実習生は主に授業がメインで、教材研究さえしていればよかった部分がありました。しかし、実際の先生は、学級管理の事務処理、学級の生徒の一人一人の把握、不登校や地域での問題などの処理、行事の準備、部活動の顧問などに追われ、教材研究をする時間すらない現状を知りました。先生の裏での頑張りを目の当たりにして、自分が中学生のころの行いを、今になって反省しました。
最後に、実習前の『教師としての自覚』と『実習生だからこそできるチャレンジ』は、実行できたと思います。特に『実習生だからこそできるチャレンジ』は、担当教員の協力なしではできませんでした。予定通りに授業が進まなかったときでも、「気にしなくていい。」と言っていただき、本当に何から何まで自由にやらしていただける環境を作っていただきました。反省会でも長時間のご指導をいただき、本当に心から感謝したいと思います。これから、実習で学んだことを人生に活かして、将来教壇に戻って来たいと思います。本当に楽しい3週間でした。
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