教育実習感想文

高校・商業 経済学部 N.H さん

教育実習は自分にとって将来の夢へと変わる良い体験でした。この二週間は生徒に授業の内容を分かりやすく伝えるにはどうしたら良いか、生徒の相談にどう言ったら答えられるか、全校生徒の前で自分の進路の話をする時にどうしたら楽しく聞いてくれるのか、クラブ活動で基本ができてない生徒にどのように教えれば良いのかなど、終ってみれば常に生徒の事を考えていました。その中で教師とは生徒への愛情でできている仕事だということに気がつきました。それまで就職活動をしていた私にとって利益を追求することにとらわれない教師という仕事にとても魅力を感じました。

初日、ホームルームの担当クラスにて挨拶に行きました。前に立つ経験があまりなかったので緊張で手が震えていました。全員と関わりたかったので紙をみんなに配り、聞きたい事を何でも書いてくださいと言って次の日から質問に答えていきました。その内容で掃除の時間などに生徒と関わるきっかけになり交流が持てました。全校集会では自分の歩んできた進路を話す場がありました。自分の体験談をかっこつけず、正直に話すことで良くも悪くも生徒にいろんな事を感じてほしいと思いました。大勢の前で話すことはめったにできる体験ではなかったので良かったです。他の実習生の話を聞く事も自分にとって刺激になりました。

授業では思った通りの授業ができず、とても悔しい思いをしました。予定の半分も進まず、教えた内容を確認する問題においても「先生わかりません」の言葉が絶えませんでした。授業をした反省として生徒目線での授業ができていませんでした。教科書の内容を理解することにとらわれ生徒が自分の説明を聞いたら理解できるのか?という所まで考えることができていませんでした。特に私の担当科目は商業なので生徒にとっては難しい言葉だらけです。それではいくら授業をした所で、自己満足にしかならず生徒(教えてもらう人)と教師(教える人)との関係が成り立ちません。自分が10勉強したことをすべてやろうとするのではなく、その中の1をいかに生徒に伝わるように教えることができるかが大切だと感じました。教科書の内容を最後まで終えればよいわけではなく、一つ一つの内容を丁寧に教えることの方が重要だと思います。マーケティング活動とはどんな意味か?と高校生に質問した所で、誰も答えることはできません。マーケティングの言葉の前に、今どんな物がほしいか?→携帯→何色が良いか?→ピンク、黒、白→どんな機能が付いてれば買いたいか?などと質問し、個人がどんなものをほしがっているのかをみんなに聞き調べていく活動をマーケティング活動というんだよ。とイメージから入ったりと工夫することで生徒により理解が深まるんだと学びました。板書計画もあいまいでした。計画した板書だけでは説明ができず、急に書き足したり、減らしたり、急いで書いて見にくかったりとレイアウトもバラバラでした。教科担当の先生は、生徒は授業後には教えた内容は忘れてしまいます。だけど、黒板はちゃんと写している。だから後で見て授業をイメージできるような板書づくりが必要だよと教えられました。教科書に書いてあることを書くのではなく、それを元に分かりやすい言葉に直す作業が必要だと思いました。その為には日々、辞書を引く癖をつけることが大事だと思います。他の先生の授業を見ることも参考になりました。説明と板書中心の座学の授業の中でどうすれば生徒が退屈せずに最後まで参加してくれるのかを探りました。大事な時に黒板をたたいたり、声の強弱でメリハリをつけていました。ずっと話したり板書しっぱなしでは疲れてしまうので休憩がてら雑談を入れることも気分転換の為の重要な要素だと思いました。

クラスの違いによって授業のやりやすさが違うことにも気付きました。あるクラスでは空気が重く、緊張し、声も小さくなりがちでした。ところが、同じ内容を別のクラスで行うとさっきとは別人のように緊張がほぐれ、リラックスして授業に取り組めました。それはなぜか?反応があったからでした。常に笑いが絶えないクラスであり、分からない時には分からないと反応してくれました。知らず知らずのうちに、自分は生徒にたくさん助けてくれているんだと気付かされました。終わった後のアンケートにも「先生の一生懸命さが伝わる授業だった」「楽しい授業でした」「頑張って教師になってください」と書いてくれたメッセージを見て、やって良かったという気持ちでいっぱいになりました。自分が思っているよりずっと生徒は良い所や悪い所を敏感に感じ取っているんだと気付かされました。

進路指導の先生から話を聞く機会がありました。私は進路指導に興味を持っていました。それは自分が高校生の頃に進路のことで悩んでいたからです。生徒の夢を応援し、サポートしてあげたいと思っていました。しかし、現実は夢を持っている生徒が多いわけではなく、その中でいかにして生徒に夢を持たせてあげれるかが大切だという話を聞かせていただきました。確かに生徒に将来の夢を聞くと漠然とした答えが返ってきます。また、夢を持っている生徒にも他の可能性も教えてあげることも大事だと聞きました。例えば、声優になりたくて専門学校に行きたい。だが誰もがなれる世界ではない。もしなれなかったらどうする?という事も質問し、それでも本人の決意が固ければ応援してあげる。と先生はおしゃってました。無責任に夢を後押しすれば良いものではいけない事にきづかされました。先生の一言には影響力があります。裏返せば自分の一言によって人生が変わってしまう恐ろしい効果があるということです。だから一つ一つの発言に気をつけてアドバイスしなければいけないと感じました。自分がイメージしていた進路指導とは違う現実をしりました。でも生徒の将来の為に自分が知ってること、知らないことなら調べた内容を教え、可能な限りサポートしてあげたいと思いました。

この二週間、睡眠時間は少なく、徹夜をした日も数日あり、たいへんな内容でした。自分が描いていた生活よりもやることは山積みであり、責任の重い仕事でした。準備が終わらなければクラブ活動にも顔を出せません。毎日、一番最後まで残って次の日の用意の日々でした。でも、終わってみれば楽しかったの一言でした。自分が頑張れば頑張るほど生徒にとって良い影響を与えることができる仕事と思いました。その為には日々の努力が不可欠です。人を育てる仕事を通じ、まずは自分をしっかり見つめ直し頑張ることで教えれることも増えていき、自分独自のキャラクターを磨くことが大切であると学びました。私は一度は教師という仕事を諦めようとしました。しかし、再び実習を通じ、将来的に教師になりたいと思えるようになりました。自分の担当は商業科なので実際のビジネスを体験した後、その体験や実話を元に教えることのできる教師を目指そうと思います。そして、その体験を授業や進路相談にも生かしていきたいと思います。

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