所長挨拶

「知の創造」としての役割を果たし、
持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する。

近畿大学先端技術総合研究所は、和歌山県海南市の高台にある海南インテリジェントパーク内に平成8年(1996年)度に文部省(現、文部科学省)の科学技術振興策「私立大学ハイテクリサーチセンター」に選定にともなって設立された「生物理工学研究所」を前身とする研究所です。平成13年(2001年)4月には、先端科学・技術の進展に寄与するという設置目的に合わせて、現在の研究所名称である「近畿大学先端技術総合研究所」に発展的に改称しております。設立から経年的に、「生物工学技術研究センター(バイオテクノロジー全般の技術を駆使して、新たな生物資源の生産に関する研究)」・「植物センター(バイオテクノロジーを用いた花卉の種苗生産や新品種改良に関する研究)」・「ロボット工学・技術センター(メカトロニクス・バイオミメティックスの研究、平成28年(2016年)度閉鎖)」のセンター組織で、地域貢献と先端技術の開発を実施してきました。現在では海南インテリジェントパーク内の「生物工学技術研究センター」・「植物センター」と和歌山キャンパス内の「高圧力蛋白質研究センター(高圧力を利用する蛋白質の動態解析に関する研究)」の3センター体制に組織変更して研究に取り組んでいます。

先端技術総合研究所のミッションは、近畿大学の建学の精神「実学教育と人格の陶冶」のもとで、生命科学と理工学の学際領域の先端的研究の基礎と応用に関する研究・調査を行い、先端科学・技術の進展に寄与することであります。実学とは、現実に根ざして現実に深く関わろうとする学問であり、現実に照らして深く新しい知識・理論・論理を発見する学問であります。生命科学と理工学の学際領域における実学研究では、先端技術総合研究所は多くの研究成果をあげて大学研究機関としての「知の創造」の役割を着実に果たしております。そして、それらが評価されて文部科学省「21世紀COEプログラム研究教育拠点」の選定と文部科学省「私立大学学術研究高度化推進事業」の採択に至っております。

現在、設立当初から着実に研究を進展させてきた「マンモス復活プロジェクト」では、マンモス復活の可能性を追求する過程で、新しい生命科学のイノベーションを創造する「知の創造」に貢献しております。さらに、平成29年(2017年)3月には、中国に次いで世界有数のジャイアントパンダの繁殖実績を有するアドベンチャーワールドと本学で産学連携協定を締結しました。同年12月には、バンドウイルカとキングペンギンの人工授精技術確立を目的とした共同研究が始動しております。精子を凍結させる保存液の開発と使用技術の確立をめざすなど、アドベンチャーワールドの飼育環境と先端技術総合研究所の研究・技術力を生かした研究に取組から、動物園動物や絶滅危惧動物の遺伝資源の確保や繁殖に向けた研究の進展が期待されます。

今後、近畿大学先端技術総合研究所は、地域におけるオープンイノベーションの拠点として更なる発展を目指すとともに、大学研究機関として持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する取組を実践していきます。

研究科長

松本 和也
KAZUYA MATSUMOTO
大学院部長
遺伝子工学科 教授