生物機能科学科について

生物機能科学科について

概要

Vision

生物が持つさまざまな機能を利用して、新たな技術の開発や産業の芽を創出

生物機能科学科では、食料、医療、創薬、エネルギーなど人類が直面する問題を解決するため、生物が持つさまざまな機能に着目し、分子レベルの最先端の研究と社会に役立つ実践的な研究を展開しています。ユーグレナによるバイオ燃料生産、ゲノム編集などの遺伝子改変を用いた育種技術の開発および新たな動植物品種の創出、iPS細胞を利用した再生医療技術の開発など、基礎から応用までの幅広い研究を行い、これまでに世界トップレベルの研究成果を数多く発信しています。新たな技術の開発や産業の芽を創出するためのスキルを身につけ、社会に貢献したい、そんな意気込みのある人が力を伸ばせる学科です。

TOPICS

令和5年(2023)年度ABiS会バレーボール大会を開催しました!!2023.10.07

平成29年度ABiS会バレーボール大会を実施しました!2017.11.25

Close Up

天然物の持つ潜在的なポテンシャルを知り、構造変換の「多彩な仕掛け」の研究

天然物の持つ反応の「声を聞く」
[生物有機化学研究室]

数ある天然物の中からハナショウガに含有するゼルンボンという特殊な化合物の構造に着目し、そのゼルンボンが多様な骨格を持つ多くの化合物に容易に変換される可能性を予感した時には、背筋に緊張が走ったことを覚えています。ゼルンボンの構造は美しく、構造変換の「多彩な仕掛け」を持っています。まだまだ未知の部分が多いことも事実です。しかしながらこの化合物は形を変え、さまざまなケミストリーに発展し、創薬にまでつながる可能性が高い物質です。ゼルンボンの生物活性そのものを生かすという考え方ではなく、手の加え方によって普通では得られない化合物へと多様化する物質の変化を観察し、そこから得られる効果を期待して研究を重ねています。天然物は生物の中で作られているもので何らかの意味を持っています。それが変換されるポテンシャルを見出し、その可能性を引き出すためには、天然物の持つ反応の「声を聞く」という地道な作業が必要ですが、再生可能な植物に存在する一つの天然物がいろんな形に変化する生物機能の研究は、これからの社会に不可欠となるでしょう。2022年のノーベル化学賞は、受賞者の一人であるシャープレス博士の提唱した「クリックケミストリー」が受賞対象の一つで、私はこのケミストリーの創成期にシャープレス研究室で研究に携わっていました。機能性物質を創製するこの技術を用いて、現在確認されている生物活性を損なわず、新たな機能を付け加える高度な研究も進めることで、世の中に役立つ学術的なことを残したいと強く思い力を注いでいます。また天然物が実質的な構造変換につながる材料としてますます注目され、このような研究が創薬科学、化学遺伝学、材料科学、有機合成化学分野の発展に大きく貢献し、近い将来目が向けられる動機付けとなることを期待しています。創薬研究の礎となり、一つの成分から広がる可能性を示すことで、他の化合物を研究している方々にとっても何かヒントになるでしょう。
学生の皆さんには目先のことだけに囚われず、焦らず基礎を学びながら起こっている現象を分析してほしいです。そうすれば、物事を見る目が養われます。培われた洞察力はサイエンスの分野に限らず人生にも役立つこととなるでしょう。自然が持っているエネルギーを感じることによって、化学、そして研究を通して人間力を高めて欲しいと考えています。

ゼルンボンの構造

ゼルンボンの構造

ハナショウガ

ハナショウガ

ハナショウガの根茎部

ハナショウガの根茎部

学科紹介動画