応用生命化学科について

概要
Vision
生物を化学的視点から理解し、豊かな未来を創造できる人材を育成

応用生命化学は、人口の増加に伴うエネルギー危機や食糧危機、健康問題など、人類が地球規模で直面する諸問題を解決する鍵として注目を集める学問です。本学科では、生物の特性を生かした、さまざまな研究を展開しています。生命、資源、食糧、環境の4つの柱のもと、機能性食品の開発、微生物代謝物や未利用植物資源の活用、生活を豊かにする研究に取り組んでいます。また、最先端技術を駆使し、マツタケの人工栽培、農薬・医薬品などの、実社会に役立つモノづくりにも挑戦しています。実学志向の環境のもとで、生物を化学的視点から理解し、産業界で即戦力となる人材を育成します。
TOPICS
年中楽しめる 「柿ワイン」 産学官で開発
自然界から酵母を探し、柿ワインの果実味追求
[応用微生物学研究室]
開発したのは、奈良市の酒販会社「泉屋」、近畿大農学部、五條市の生産者「堀内果実園」と県で、ワインの名前は「柿の音」と言います。ブドウワインに柿エキスを加える製法でなく、柿の果実を独自の酵母で発酵させたのが特徴です。フルーツワインの飲みやすさの中に、柿らしい味わいと渋みが感じられるお酒です。
柿ワイン醸造法の確立において、最も苦労したことは「柿の風味をしっかり出せる酵母探し」でした。造り方はブドウも柿も基本的には同じですが、味や香りに大きな影響を与えるのは、発酵を促す微生物の酵母です。市販されている酵母も試しましたが、「どうも味も香りも良くない」。我々は、柿に適した酵母を求め、キャンパス内の桜やバラなど約1000種類の花を採取、酵母を集めました。
それらで試験醸造を繰り返し、味や香りを評価して、泉屋の今西栄策社長や堀内果実園の堀内俊孝代表も、何度も大学に足を運び、議論を交わしました。「柿らしさが強い」「後味が少し悪い」など、感想を基に選定を進め、苦労して適したオリジナルの酵母にたどり着来ました。
柿の強みは冷凍保存できることです。ブドウの閑散期に設備を使い、通年生産できます。奈良の新しい特産品として認知されるように今後も尽くしたいと思っております。1本720mlで税込2,200円で県内のスーパーや百貨店で購入できます。
このトピックは、2022年3月28日(月)毎日新聞、3月29日(火)読売新聞、奈良・県民だより3月号に掲載されました。


柿のワインの果実パウンドケーキ
柿ワインの製造時に出る酒粕を使用
奈良県産フルーツたっぷりのパウンドケーキ
[応用微生物学研究室]
令和元年度「県内学生が創る奈良の未来事業」の最優秀賞に輝いた当学部生からの提案を具体化するため、応用微生物学研究室では奈良県とともに柿の酒粕を用いた特産品開発推進事業を実施しています。
学生のアイデアを元に(株)奈良祥樂が試作した商品が、12月11日(日)開催の奈良マラソンの「奈良みやげエリア」(奈良市鴻ノ池陸上競技場「ロートフィールド奈良」特設会場)で試食できます。当学部生のアイデアによる商品であることは、リーフレットにも紹介されています。


令和元年度「県内大学生が創る奈良の未来事業」の最優秀賞に輝いた応用生命化学科の学生さんのアイデアが商品化されました。
酒類試験製造免許取得(清酒・ビール・果実酒・甘味果実酒)
近畿大学農学部・応用生命化学科ではお酒の製造技術を通してバイオテクノロジー技術の基礎が学べます(2006年8月~)。
日本酒(清酒)の発酵過程には、麹菌、乳酸菌、酵母といった複数の微生物が関与しています。そのため、良い製品を作るためには、これらの微生物の働きをよく理解し、微生物たちがより働きやすい環境を整えることが大切です。よって、日本酒の製造工程には、微生物を利用して、人間に有用なものを作る技術のヒントがたくさん隠されており、バイオテクノロジー技術の宝庫といえます。
応用生命化学科では、清酒・ビール・ワインなどの製造実習を通じて、お酒の発酵に必要な技術を学ぶだけでなく、基礎的・応用的なバイオテクノロジー技術も学ぶことができます。
実習風景(生物学実験Ⅱ)
発酵生産実験(食品からの乳酸菌の純粋分離と分離菌を用いたγ-アミノ酪酸(GABA)生産、乾燥果実からの酵母の純粋分離と分離酵母を用いた炭酸飲料製造、ビール醸造)
乳酸菌の定義について学び、食品から乳酸菌や酵母を分離する手法を習得し、醗酵生産について学びます(乳酸菌によるGABA生産、アルコール発酵)。

ビールの素(麦汁)の調整

ホップ入り麦汁の調製

種菌酵母の植菌
・応用生命化学科 伊原 誠 講師が日本農芸化学会 農芸化学奨励賞を受賞しました
2018.03.29
・応用生命化学専攻の青木 香奈 さんが第15回日本小児栄養研究会にて優秀演題を受賞しました
2018.03.13
・応用生命化学専攻の野口 晃さんが、JSBBA KANSAI 4th Student ForumでMost Influential Presentationを受賞しました
2017.11.14
・農薬研・制御研創立50周年記念祝賀会を開催しました。
2017.05.23
Close Up
「発酵食品は身体に良い」を細胞レベルで解析する【応用微生物学研究室】
古来、食されてきた発酵食品にようやく光
応用微生物学研究室では、ヨーグルトやチーズ、醤油、納豆などの発酵食品中の微生物がどのように生物の健康に関わっているか、その仕組みについて研究しています。旧石器時代終期14,000年前頃の遺跡からパンのような加工食品の痕跡が見つかっており、その頃から人類と発酵食品は長く付き合っている可能性があります。現在、遺伝子解析や質量分析などの技術が進歩して、これまで経験則で扱われてきた発酵微生物の働きについて理解が進んでいます。発酵食品は、伝統文化と先端技術の橋渡しをするようなもので、研究の可能性を大いに秘めています。
乳酸菌が免疫細胞を活性化する仕組みを解明
発酵食品を食べると乳酸菌などを体内に取り込みますが、一部の微生物は腸管に到達します。腸内にいる細菌群(腸内フローラ)は、腸管の免疫細胞を刺激して全身に影響を与えていることが知られていますが、その仕組みには多くの不明な点があります。我々は、発酵食品中の乳酸菌などの細菌が、シャボン玉のような「膜小胞」という小さな輸送体を放出して、我々の免疫細胞を活性化していることを明らかにしました。我々が食べた微生物は生体内で保護されることになり、食べた微生物の働きで我々は健康の維持が可能になります。発酵食品は微生物と人間を結び付けており、微生物と人間は上手く相手を活用してしたたかに自然界を生き残っているのかも知れません。発酵食品で摂取している微生物の仕組みを明らかにして応用することは、我々の身体を健康に保つ新たな技術の開発につながります。
研究は吹奏楽のようなチームプレイ
応用生命化学科に興味を持ってくださる方は、たとえば小学校の理科の授業で顕微鏡の画像に感動したといった、生物におもしろさを感じた経験がきっとあるでしょう。大学での学問はこれまでより格段に自由度が高くなるので、その“おもしろさ”をぜひ楽しんでほしいと思います。研究は一人で成し遂げられるわけではなく、それぞれが得意な楽器を奏でる吹奏楽のようなもの。教員だけでなく先輩の背中を追ったり、同級生や後輩らと関わりを持って一緒に悩んだり試行錯誤したりすることも研究の魅力の一つです。ぜひこうした喜びも感じながら学んでください。