研究者紹介

研究代表者:杉浦 麗子(薬学部 創薬科学科)

近畿大学薬学部 創薬科学科分子医療・ゲノム創薬学研究室 教授

研究課題

増殖シグナル制御機構の解明と革新的がん治療薬の開発に関するゲノム科学的研究

研究の要旨

私たちは、細胞増殖・がん化の中心的役割を持つMAPキナーゼのホモログを発見し、MAPキナーゼの抑制因子や、活性化因子群を同定することにより、RNAを介するMAPキナーゼの制御の仕組みを世界で初めて明らかにしました(Nature 1999, Nature 2003, Mol. Bio. Cell 2004, 2007など)。MAPキナーゼ経路は、ヒトの多くの癌において、その異常な活性化が報告されていることから、抗がん薬の分子標的として、極めて魅力的なシグナル伝達経路です。MAPキナーゼの働きを調節することのできる化合物は、癌や炎症、免疫異常などの病気の治療薬としての可能性を秘めています。私たちは、“ケミカルゲノミクス”と呼ばれる独自の手法を用いて、MAPキナーゼシグナル阻害薬を探索する画期的なシステムを開発しています。遺伝子ノックアウトマウス、癌幹細胞などを使って、MAPキナーゼを中心としたシグナル伝達経路と癌化との関わりを探ります。